序章 隠された記憶の中で
魔法あり、スキルあり、槍あり、拳ありのロー(ちょっとハイ)ファンタジー!主人公は二人?ストーリーも二つ?しばらくしないと話しは交わりませんっ!軽い所は軽く、重い所は重く行きます!変な題名は御容赦くださいっ!誰一人として待っていなかったであろう私の自己満足小説ここに開幕っ!!!
なお、少女が主人公の話を「アルラストーリー」、悪魔が主人公の話を「バルトストーリー」とし、両物語を交互に投稿していくことになります。投稿を進める中で、両物語の話数に違いが出てしまう場合がございますが、あたたかい目でお読みください。
あと、評価よろしくお願いします!
なにも、見えない
なにも、聞こえない
匂いも、感触も、味もない
なにも、感じない
ーーいや
何かーー見える
何かーー聞こえる
何かの匂い、何かの感触、何かの味
これはーー光?
これはーー人の声?
これはーー花?
これはーー石?
これはーー鉄?
視界が広がる
うめき声が聞こえる
お香が薫る
頰が冷たい
血の味がする
「光」と言うには、暗すぎる。そんな光だ。
その光は、空間を青く染め上げ、この場を照らしている。しかし、私はこの光が、空間を、視界を青く染めたその瞬間から、得体の知れない不安を、恐怖を感じている。やはり、違うのだろう。「光」ではーー無い。
視界の先に影が見えた。輪郭がぼやけており、姿どころか生きてるのかすらわからない。青い光のベールの裏で、それらは上下に並び、列を為している。
その中の一つが、微かに動いた。生きている。
その微かな動きが、私に興味を持たせた。目を凝らし、注視する。何故だろう?それらが横になっているように感じるのは……。
そこでーーいや、ようやくというべきか。
私は、自分が倒れていることに気づいた。
刹那、体が引かれる。正確に言えば、首が。
「ゴホッゴホッ」
誰かが咳き込む。誰が?ーー私か……。
誰かの声?……だろうか?誰かが声を荒げている。
私は声の主の方に目をやりながら、手を使わずに立ち上がる。
立ち上がると、辺り一面、ーー影だった。前方に続く道と所々に見える石畳み以外は、影で埋まっている。私は、動揺を隠しながら声の主に向き直る。
声の主は頭から足まで、全身を鎧で包んだ男だった。顔は兜で見えず、腰には剣が携えられている。胸当てには所属を示す紋章が……。その姿を一言で表すならそうーー兵士だ。
兵士を手には鎖と思しきものが握られている。
鎖が伸びているのは……私?
再び、兵士が声を荒げる。それと同時に鎖を引く。鎖と連動する様に私の首が引っ張られ、私はつんのめる。
兵士は私を一瞥すると、私に背を向けて歩き出した。それに従う様に、私も歩き出す。
十数歩歩いたころ、不意に兵士が歩みを止め、半身になって私を見る。
私は足早に兵士の元へ向かい、座らされた。
兵士は鎖をその場に置き、元来た道を帰って行く。
静寂が場を支配するのは早かった。……が、終わりもまた、早かった。
次に場を支配したのは、無数の声だった。青年から老婆まで、老若男女様々だが、その全てが同じ詩を口にしている。
その声は、私の不安を煽り、私に恐怖を叩きつけた。そして、描いたーー黒い「光」を……。
気づけば、床きら放たれた二つ目の光が、私を飲み込んでいた。青かった視界が黒く塗りつぶされる。
その光は、
空間をーー染める。
空間をーー支配する。
空間をーー混沌へとーー
ーー導くーー
視界が光をーー失う
絶叫が鼓膜をーー叩く
鉄の匂いが鼻腔をーー埋め尽くす
黒い光の生温かさが体をーー包む
血の味はまだーーとれない
強い衝撃を受けて、私の体は地を離れ、宙を舞う。宙を舞う中で視界が回り、視界か回る中で鎖が引きちぎれるのをーー見た。
私は背中から着地する。しかし、痛みは無い。
何かが私を受け止めてくれたようだ。
事態を把握するために、私は上体を上げた。
床はもう、黒い光を放っていなかった。
そして、見つけたーーソイツを……。
ソイツはしゃがんでいた。正確に言えば、しゃがんでいるのが見えた。漆黒の一対の羽の間から。
ソイツはゆっくりと立ち上がる。
同時に羽をしまう。
黒い靴、黒いコート、黒い手袋、瞑られた二つの目、黒い髪と順に、見えてくる。
その姿を見て、私は思い出す。まだ幼き日に読んでもらった本の登場人物。『黒い人』を。
黒い人の瞼がゆっくりと持ち上がり、眼球があらわになる。……紅い。
黒い人は周囲を見渡し、
「そーゆー……ことか」
と、第一声を発する。
黒い人は歩き出す。その先にいるのはーー私。
黒い人の歩みは止まらない、止められないように思えた。……が、その歩みが止まる。
黒い人と私の間に割り込むように、一人の少年が黒い人の進路を阻んでいた。
少年の名は、■■■■。
少年の後ろ姿を見て、私はーー
ーー嬉しくなった
ーー怒った
ーー悲しくなった
ーー少しーー楽になった
少年は私を一瞥すると、ーーいつから持っていたのだろうーー槍の存在を私に示した。
私は走り出すーー黒い人目掛けて。
同時に少年はーー後退する。
戦いが始まった。
すれ違い様に槍を受け取り、黒い人に突撃。1,2,3,連撃を叩き込む。……が、黒い人は軽々とよけ、さらには右ストレートを繰り出す。
黒い人の拳が目前に迫る。
私は防御姿勢すらとらない。ただ、待つ。
次の瞬間、黒い人は青紫色のモヤに包まれる。
黒い人の動きが鈍る。
ーーここだーー
その瞬間、5連撃を叩き込む。
あたった。……はずだった。
私の槍はモヤに五つの穴を穿つが、モヤの中に黒い人はもういない。
私の感が叫ぶ。私は振り返る。ーーいた。少年の後ろ、六時の方向に黒い人はいた。
私は少年の名を叫び、走り出す。時を加速させて。
少年は振り返りながら前方に飛び、半透明の壁……のようなものを作り出す。壁で黒い人の拳を受け止めてーーぶっ飛んだ。
少年の体が宙を舞った。
少年は背中から着地する。しかし、受け身が取れていたのだろう。すぐに立ち上がった。
私達は再び黒い人と対峙する。
私は槍を構える。少年は身構える。黒い人はあくまで自然体でいる。
先に動いたのは、黒い人だった。
懐から千本を取り出し、投げる。
私は半歩横に移動して、少年は身をかがめて、避ける。……が、この程度で終わるはずが無かった。
千本と細い糸で繋がれた黒い球体。認識したその瞬間に手遅れであることを悟った。閃光がはしり、私達の目を貫く。
視界が回復した時には、黒い人の拳が目前に迫っていたーー。
夜空が見えた。
星が見えた。
そして、銀に光る月が見えた。
私の意識が覚醒するのと、私の口から少年の名が飛び出すのは同時だった。
上体を勢いよく起こし、辺りを見渡す。予想に反し、軽かった。
私は違和感を感じ、首にて手をやる。
そこにあるのは、巴形の首飾りだけだった。
D.t.情報ファイルーNo.0.5 『黒い人』について
『黒い人』は、世界中で愛される伝承、『ラオ戦記』の登場人物で、主人公達を導く存在にあたる。作中における『黒い人』の容姿表現は全世界で「黒い衣に全身を包んでいる」に統一されており、世間一般の読本、伝承からそれ以上の情報は得られなかった。
また、『ラオ戦記』のルーツは古代神話にあるという説がある。
現段階において、これ以上の調査は危険があると判断し、今調査はこれまでに終わった。
情報提供者 これ以上を知ろうとして消えた
伝承学者
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