人質の状況
娘が全然止まらない。
「首トン」とかできたら良かったんだけど,私はそんな能力持ち合わせていない。
だからもう一度口を縛って声を出ないようにさせた。
「こういうときに冷静な判断ができないと死ぬぞ」
私がそういうと母娘は恐怖で顔を歪めた。
まったく,八歳の子供を恐怖の対象として見て欲しくないなぁ。
こんなに可愛い子供なのに。
「別に私はお前たちを殺す気はない。母親,お前たちが捕らえられてからのことを話せ」
私はグリードに落とされてからの状況を母親に話を聞くことにした。
母親はグリードがイールを攻め落とした後からのことを話し始めた。
母親の話を要約すると...
一つ,真面目な兵士である父親はルーボについていったこと。
二つ,そのあとイールを逃げ出そうとしたこと。
三つ,兵士の家族はすぐに拘束され,一か所に集められたこと。
四つ,拘束されてからはバラバラの場所に連れていかれたこと。
五つ,満足にご飯を食べれていないこと。
という話だった。
人質の状況はほとんど二人と同じなのだろう。
「つまり,お前らみたいに拘束されている人は何人もいるということだな」
「そうです」
兵士はルーボを裏切った者とルーボを守った者に分けられる。
ルーボを裏切った側の兵士の家族を拘束するのなら分かるが,なぜルーボを守った側の兵士を拘束しているのだろうか。
グリードとルーボが繋がっているということに何かがあるんだろうけど。
まぁ,そんなことは後に考えるとして...
「君たちを人質として,兵士たちは働かされている。中にはグリードに殺されてしまっている兵士もいる。だから,君たち人質も,ずっと生かされるということも考えにくい」
実際,与えられた食事を考えれば生かそうという気が無いのは明白だ。
下手をすれば人質の中から脱水や栄養失調で亡くなる人が出てきてもおかしくない。
早く対応をしなければ,残酷な結末が増えてしまう。
父上を待つというのは厳しいのかもしれない。
「私は君たちを逃がしたい。でもグリード支配下のイールでは逃げ出すことは不可能だろう。状況を整えたいから少し待っていてくれ」
私は母親の口も縛り直し,元の状態に戻してから,古びた家をあとにした。
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