古びた家
領都イールはなかなか広い。
今までは馬車で通り過ぎたことしかなかったけど,その広さに疲れてしまった。
歩くのが疲れたのもあるけど, 先ほど拝借した靴があっていないのもある。
「靴はいざというときのために大事だよね」
私はもう一度空き家を探して,私に合う靴が無いかを探し始めた。
八歳児に丁度いい子供用靴がそう簡単に見つかるわけも無く,慎重に空き家であることを確認して,次々に侵入を繰り返していった。
大通りから少し外れたところに古びた家があった。
全く物音もしないし,空き家かと思って侵入すると,手足口を縛られた人が転がっていた。
空き家だと思ったのに空き家じゃなかった。
とりあえず口を解放する。
「あなたは誰?」
「私はクローノ・アリストクラートだ」
急に聞かれたため,とっさに本名を伝えてしまった。
よくある「名前を聞く前に名前を名乗るべきじゃないのか」とか言って誤魔化せばよかった。
彼女らがグリードの手先だったらヤバいよね。
まぁ,拘束されているからそんなことはなさそうだけど。
「君たちは?」
「私はジェナ。こっちは娘のフィーリア。私たちは人質として捕らえられているの」
「パパが!!パパが!!」
娘が大きな声を出した。
静寂の街にこの声は拙い。
口に手を当て,「しー」ってするけど全然止まらない。
アンジュだったら言うことを聞いてくれるのに。
よろしければ「ブックマーク」や広告の下にある「評価☆☆☆☆☆」を押していただけると幸いです。
また,感想等もお待ちしております。感想を頂けると大変うれしいです。
皆様,お読みいただきありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




