銀貨を一枚
私はスラムを抜け出したのか分からなかった。
本当の意味でゴーストタウンだった場所から,人のいる場所へ来たはずだった。
「静寂だ」
スラムの外は人が住んでいるはず,それなのに静かすぎた。
ここは本当にイールなのだろうか。
とても五万人都市とは思えない。
私は音を立てないよう,ゆっくりと急いで屋敷へ向かっていった。
「いくら静かにしても臭すぎる」
服に体に染みついた臭い匂いがヤバすぎた。
この匂いで気が付かれては元も子もない。
グリードの影響で避難した人がいたからか,いくつか空き家があった。
私はその空き家に忍び込むことにした。
「貴族家に生まれたのに盗みを働くことになるとは思わなかったな」
前世では貧乏だった家庭状況のために,何度か盗みを働こうとしたことがある。
でも必ず失敗していた。
店員に見られたり,万引きGメンに2見られたり...
それで警察にお世話になったこともあった。
そういえばお腹をすかせた私を憐れんで警察官の人がかつ丼を奢ってくれたことが一回あったな。
ともかく,不幸体質だった前世じゃないので,無事服を拝借できた。
「悪いがこの服を貰う」
貴族は搾取をするものではあるが,申し訳なさがあったため,私は空き家に銀貨を一枚置いた。
そして,体を拭き,服を着て,空き家をあとにした。
「さぁ,行こう」
近くのゴミ捨て場に着てきた服を捨て,私は再び屋敷へ動き始めた。
よろしければ「ブックマーク」や広告の下にある「評価☆☆☆☆☆」を押していただけると幸いです。
また,感想等もお待ちしております。感想を頂けると大変うれしいです。
皆様,お読みいただきありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




