スラムの外
日が暮れたのでカバリーロのところまで戻ろうかなと思ったとき,鐘の「ゴーン」と言う音が鳴り響いた。
何の合図か分からないので,近くにあった適当な物陰に私は身を潜めた。
建物の中に隠れ無かったのは,建物の中に隠れる場所も逃げ場もないことをさっきのピンチで学んだためである。
「スラムにいた私を見つけるための捜索の合図かも...」
隠れているからなのか,心臓からドクンドクンと大きな音が聞こえてきた。
そのせいで見つかってしまわないかという不安でさらに心臓の音が大きく聞こえてしまっていた。
落ち着け落ち着けととても臭い場所に身を潜めていたが,結局誰も来ることはなかった。
何もないのに臭いところにいるのに耐えられなくなった私は身を隠すのをやめ,恐る恐るスラムの外に近付いていった。
「人がいない...」
そもそも電気の無いこの世界。
田舎町などでは,日の出とともに活動を始め,日の入りとともに活動を停止するのが当たり前だ。
でもイールのような大都市にはランプの街灯が設置され,夜でも酒を出す店などがやっていることがある。
だから真夜中とは言えないこの時刻に街から人が消えるのが不気味でしょうがない。
殊更,異常に見えるのが街灯の火が灯されることも無く,見回りの兵士すらいないことだ。
色々観察をしたいけど,暗いから見えない。
月明りを頼りにしたかったけど,新月なのもあって全然見えない。
「でも逆に言えばこっちから見えないなら,向こうからも見えないってことだよね」
私はさらにスラムの外に近付くため,ソロりソロりと足を進めた。
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