大ピンチ
「ヤバいヤバいヤバい」
そう思いながら私は隠れる場所を探す。
スラムの中でもまだ裕福な家だったのだろうか。
机やタンスなどの家具は多少ある。
でも,私の住んでいる屋敷のように隠れる場所がたくさんあるわけではない。
こういうとき,下手に隠れたらすぐに見つかってしまう。
もしかして,建物の中に逃げ込んだのは失敗だったか...
でも兵隊さんたちとの脚力を考えたら逃げられるとは思わない。
とりあえず私は二階へ行った。
二階にはベッド以外何もなく隠れられる場所は無かった。
急いで一回に戻ろうと思ったけど...
ザザザと走ってくる音が聞こえてきた。
「終わった...」
下の方から兵隊さんたちの会話が聞こえる。
「本当に見たのか。勘違いじゃ...」
「絶対に居たって,子供が」
どうやら向こうも私を見つけていたようだ。
壁に隙間があるからだろうか,建物の外からよく声が聞こえる。
これは物音を立てるとアウトだな。
「...仮に子供がいたとして,クローノ様じゃないだろ。クローノ様だったら門で捕らえられるだろうから」
「じゃあ,あの子供は...」
「孤児ってところだろ。パスに連れてったのが全員って保証も無いし,もしかしたら新しく捨てられたかもしれねぇ。そんなもんは捕まえても何の得にもならないから探すのは止めようぜ」
「そうだな。それにしても門番は羨ましいな。クローノ様を捕えてルーボ様から褒美貰えるの確実だし。見回りより門番がしたかったよ」
「そんな愚痴,他の人の前では言うなよ。ルーボ様に知られたら...」
「そうだな」
「さぁ,こんな臭いところ,さっさと出ようぜ」
二人の兵士は建物に見向きもせず,立ち去って行った。
ザザザと歩く音も聞こえなくなり...
「助かった...」
夏が近づくこの季節,隙間風が生ぬるくて気持ち悪いが,直近の大ピンチを運よく切り抜け,私は安堵をしていた。
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