考察する
兵士たちの会話から隠れて屋敷に行くことが限りなく難しくなっていることが分かった。
ちょっとネガティブを超えて絶望すぎる。
「子供なら捕まる」
それでも私は進まなければならないのだ。
逃げることは出来ない。
そのためにも,さっきの兵士たちの会話を思い出し,考察することにした。
スラムは誰もいないと言っていた。
孤児たちはルーボがパスに連れてきたけど,その他にも住んでいた人がいたはずだ。
特にスラムのドンは手を出し難い厄介者だと聞いている。
スラムのドン,最高,再開発...
「再開発をした後も住んでいいという条件で仲間にした?」
グリードは反ルーボ派の兵士を味方につけただけだ。
父上が戻ってくれば形勢が逆転するかもしれない。
そのため,スラム街の荒くれ者たちを味方にするというのは考えられる。
なんだかんだでグリードの地位も危ういのだ。
そのくらいの大胆な策は取ってくるだろう。
「屋敷にスラムのヤバい人がいるという可能性もあるのか...」
それに門と隠し通路は見張っているというような話もあった。
グリードがどうやって隠し通路を知ったのかは未だに謎だが,イールの出入りには厳しい制限をしているということが分かる。
「城壁の穴は知らないってことだよな」
グリードが城壁の穴を知っていたら,監視したり塞いだりしそうだ。
そういう意味では全く関知していないということなのだろう。
スラムの荒くれ者たちが知らないとは思えなかったけど,子供がギリギリ通れるくらい小さな穴なので,スラムの人たちは気に留めていないということかもしれない。
「一番の疑問はあいつらが「ルーボ様」と言っていたことなんだよな」
二人のお喋り兵士はアリストクラート領の兵士の恰好をしていたので,ルーボ様と様付けをして呼ぶことに最初は何の違和感もなかった。
でも領都イールはグリードの手に落ちたのだ。
それもルーボを嫌っていた兵士が協力して。
それなのに何故,ルーボに様を付けたのか。
我々アリストクラート家の名前に様を付けるのが身に染みていただけの可能性もあるが...
「気になる」
これ以上の情報が無い今,無闇に屋敷に飛び込んでいってもグリードにただ捕まるという可能性が一番高い。
私は一旦屋敷に行くことを止めて,通り過ぎていった兵士たちを尾行することにした。
お喋りな二人の会話に良いヒントがあることを期待して。
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