一難去って
トルペの話を信じるなら,グリードは何故か隠し通路を知っていたということになる。
どうやって知ったかは分からないが秘密にされていた隠し通路を知っていたのだ。
城壁の穴についても知られている可能性があった。
そう思って私は周りを見渡す。
でも嫌な匂いが充満するだけで人っ子一人いない。
それこそ兵士すらいない。
「これはグリードも知らないって考えていいのかな」
油断はできないけど,警戒しすぎるのも良くないだろう。
私は街の中心街を目指して歩き始めた。
スラムを歩くと所々建物に破壊の跡が見える。
ルーボが再開発をしようと意気込んでいたからなのか,グリードが暴れたからなのか分からないが,ここに長くいるのは良くなさそうに思える。
「とりあえず急ぐか」
私はスラムを抜け出すため歩みを速めた。
しばらく行くとスラムの出口に近付いてきた。
ここまでくると嫌な匂いも減ってきており,スラムの外が見え始めた。
「さすがに街中には人がいるのか」
スラムからバレないように抜け出すのはなかなか難しそうだ。
身を隠しながら,私は街中を眺める。
街中に人が多数いるということは,私がイールにいることをグリードに知られる可能性が高いということだ。
「この臭い服もどうにかしないとな」
スラムを通ってきた服は嫌な匂いが染みついていた。
写真が無いこの世界で私の顔を正確に知るものは少ないだろう。
それでもこんな匂いで街中に出れば確実に騒ぎが起こることは避けられないだろう。
「どうしたものか」
一難去ってまた一難。
城壁を超えたら次はスラムからの脱出という難題が私の前に広がった。
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