心優しそうな小さな少年
城壁に開いた穴は,スラムに近いということでゴミやらを使って,上手く隠されていた。
イールの外は畑になっていて,スラムの孤児たちはこの穴から外に出て,食料を得ることが多かったらしい。
「本当に小さい穴だな」
最初に孤児たちに会ったとき,彼らのリーダーは体の小さいやつで私は少し違和感を持っていた。
普通そういう場所では腕っぷしの強そうなやつがリーダーをやるはずなのにと。
でもここにきて納得できた。
この穴,体格が良すぎると通れない。
「そりゃピッコロがトップなわけだ」
心優しそうな小さな少年の顔を私は思い浮かべた。
それは彼らの今までの生活を聞き出しているときだった。
ふと疑問に思い,私は食べ物をどうしていたのか聞いたのだ。
皆が答えに渋る中,ピッコロが話してくれた。
彼が城壁に開いた穴を通って畑から盗みをし,孤児たち皆に食料を分け与えていたことを。
話が終わったあと,その小さな体が酷く震えていた。
彼は盗みがバレたことで私に処罰されるんじゃないかって恐怖を感じていたのだろう。
貴族が平民を処罰する。
この世界ではそれが普通だ。
酷い貴族だと,処刑をするとも聞く。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
彼は俯いて,そう繰り返していた。
私はそれを見て,彼を励ますために近付こうとした。
すると,そんな彼を孤児みんなで庇って私を近づかせないようにしたのだ。
「ピッコロは何も悪くないんだ」
「ピッコロのことを殺さないでくれ」
「俺のせいだ。俺を罰してくれ」
それはとても印象的だった。
彼らの関係性,ピッコロの優しさと人望。
それら全てを表していた。
確かに盗みは良くないけど,私は彼を怒らなかった。
いや,怒れなかったという方が正しいだろう。
何故なら,そんな不幸のどん底に孤児たちを放置させていた私たち貴族が悪いのだから。
「君たちは自分で畑を作り,生活をしていたんだね」
私はそう言い放った。
ピッコロはこちらの意図が分からなかったのだろう。
大きな口を開けて,固まっていた。
一緒にいたカマリエラやカバリーロたちは少し笑っていた。
「私と同じくらいの年齢なのに畑を耕し,自給自足とはたいしたものだ」
孤児たちは奇妙な目で私を見ていた。
何言ってるんだ,コイツと。
そこは感謝してくれよとも思ったけど,全てが台無しになるので言い出さなかった。
とほほ。
そんな話はさておき...
孤児らの活躍によって,グリード達が知らないであろう第三のルートを選択出来るようになり,私は無事イールに潜入したのだった。
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