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小さな穴

 相手の選択肢に乗らないと決めたものの私は一人でイールに向かっている。

 このままいけば相手の思う壺である。


「このまま行けばだけどね」


 私は笑みを浮かべ一歩また一歩進んでいった。


 イールの街を囲む城壁にたどり着いた私は,門の方へは向かわず反対側へ足を進めた。

 しばらく歩くとスラム地区がある場所までたどり着いた。


「ひどい匂いだ」


 一枚壁を隔てているにもかかわらず,ここまで匂いが漂ってくる。

 近付けば近づくほどに匂いが強くなる。

 今パスで保護している子供たちはこんなところで育ったのか。


「そりゃ怖くなるわけだ。パスでの生活が」


 私は将来の科学者,技術者にするために彼らを育て上げているのだ。

 もちろんパスでの生活は至れり尽くせりになる。

 これだけ環境が違っていたら怖くなるわ。


「さて,あの子たちに聞いたのはここらへんだよね」


 イールに入るには門を通るか,屋敷へ直通の隠し通路を通るかの二択である。

 そう思っていたんだけど...


「あった!!」


 城壁に子供一人が通れるほどの小さな穴が開いていた。


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皆様,お読みいただきありがとうございます。

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