目の前が真っ暗
父上任せにしようとしていたら,グリードに呼び出し喰らったよ。
大分年上のオッサンに呼び出しの手紙を貰ったって何にも嬉しくないんですけど。
放課後に校舎裏とか屋上に呼び出して愛の告白をされるんだったら出向くんだけど,これって...
「完全に罠だよね」
「大丈夫です。クローノ様を一人で行かせるわけにはいきません」
カバリーロはこう言うけれど,一人で行かなければルーボが殺され,パスも攻められることとなる。
「父上はいつ戻ってくるの」
そろそろ父上がダロム侯爵家に出発して一月ほど経つので帰ってきてもいいはず。
少なくとも伝令はたどり着いているべきだが...
「もしかして父上の伝令がイールに入ったなんてことは...」
状況が状況なだけに思考がどんどん悪い方へ進んでいき,突破口が見えなくなる。
目の前が真っ暗になって...
目を覚ますと寝室だった。
どうやら倒れてしまっていたようだ。
「クロ君...大丈夫」
体を起こすとベッドの隣にアンジュがいた。
アンジュがいると落ち着くなぁ。
でももうアンジュに会えなくなるかもしれない。
そんな未来を考えてしまい,私は震えた。
私は日本で死んだときのことを思い出した。
それは唐突だった。
いつも通り,自転車で大学に向かっている途中だった。
交差点で車が飛び出してきたので止まると,その車が通りすぎていき,単独事故を起こした。
可哀そうだなと思いつつ,急いでいたので通り越していこうと思ったら,運転席から降りてきた厳ついオッサンがこちら近付いてきて,「お前のせいで事故したのに何逃げてるんだ」と言われた。
その後,私は長い金属の棒でぶん殴られた。
覚えているのはそこまで。
イールで私は殺されることになるかもしれない。
日本での死は理不尽ではあったが一瞬だった。
もしイールに向かう判断をすれば,一瞬ではなく長い時間をかけて残虐に殺される可能性が高い。
逆にイールに向かわない判断をしても,パスが攻められてしまう。
それはそれでいばらの道だ。
街の外にいる避難民の対応もあるし,そもそも兵力が違う。
「...大丈夫じゃないな」
その言葉にアンジュが椅子から飛び降りて部屋から出て行ってしまった。
しばらくして戻ってくると...
「クロ君が...ぅ...大丈夫じゃないの...えぅ...」
泣きながらカマリエラを連れてきた。
「クロ君を...助けて...ううぅ...うわーん」
アンジュが大泣きをしてしまった。
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