圧倒的弱者
子どもは宝って言うけどさ,発展途上の街に大量に連れてこられてもちょっとねぇ。
それにしても本当にいい嫌がらせしてくるよ,ルーボの奴は。
「はぁ,どうしよう」
そう呟くとルーボに連れてこられた子供たちは怯えた目で見てきた。
この子たちルーボに何をされたんだ。
ちょっと呟くだけでこんなにも怯えるなんて...
「とりあえず,公衆浴場に行ってこい」
スラムに住んでいたためか,子供たちはとても臭う。
まずはお風呂だ。
子どもたちが入浴中に子供服を商人から買った。
ここまで来ていたものはボロ布で服と呼べないものだったためだ。
あと移住民からテントも買い取った。
移住民はしばらくテント暮らししていたが,居住区に家が経ち始め,テントがいらないという人がいた。
防衛設備の強化中だから,子どもたちが住むところを急に作ることが出来ない。
そのためのテントだ。
「お前たちの家を急に用意はできない。悪いがしばらくはこのテントで暮らしてくれ」
今が冬じゃなくてよかった。
さすがに南地域といえども冬の夜は冷えるからな。
そんなことをしていたら子供たちの見る目が変わった。
怯えた目でこちらを見ていたのに,困惑の目でこちらを見ている。
なんでぇ?
優しくしたからこちらを受け入れろとまでは言わないけど,何で困惑するの?
そんなことを考えていると一人の男の子が前に出てきた。
「お前なんでこんなに優しくしてくれんだ」
「え?当たり前だろ」
......もしかして無償で施されるわけないってビビっているのかな。
まぁ,ルーボの思い通りにさせないためにこの子たちを立派な労働力に育て上げるって決めたから,その考えは正しいんだけど。
「今まで誰も優しくなんかしてくれなかった」
男の子は涙を流していた。
私はハッとした。
スラムの孤児は圧倒的弱者だ。
人権意識が広まり始めている地球ならまだしも,この世界において孤児を保護するなんて考えは無いも同然だ。
実際,ルーボが連れて来た時も,子供たちは拘束されて荷台にぎゅうぎゅう詰めだったのだ。
これだけで扱いの酷さが分かるだろう。
「お前たちには私が守ってあげよう。もう苦労することは無いぞ。あとで食事を用意するから,とりあえずテントを建てて休憩でもしておけ」
私がそういうと子供たち全員が泣き出した。
過酷すぎるな,この世界。
私はハードモードなんて嫌いだし,本当に貴族家に生まれて良かったと思った。
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