親のいない子供たち
会議を終え,学校を開始させ始めた夏の始まりの頃,パスに予想外の男が現れた。
アリストクラート家の長男ルーボ・アリストクラートだ。
「ぐひひ,クローノ元気かい」
嫌な笑みを浮かべて現れた。
わざわざここまで来て何を企んでいるんだろうか。
「ルーボ兄さん,どうしてパスへ来られたのですか」
「お前に伝えることがあったから来てやったんだよ」
ルーボが伝えてきたのは東地域の独立により,父上が南のダロム侯爵家へ向かったことと父上が領を開けている間はルーボが代官になるということだった。
どうやらルーボはこの二点を伝えに来たようだ。
「そんなことを伝えるならいつもの代官さんに任せればいいのに」
「なんか言ったか」
危ない危ない。
将来,ルーボがアリストクラート家の家長になるのだ。
これ以上嫌われそうな言動は良くない。
「それにしてもこの村はそれなりには発展しているようだな」
わざと村って言いやがったな。
というか見る目大丈夫か。
領都イールや港町ポルトほどではないがパスは大きな街になってきたし,設備面ではその二つより優れていると思ってもいいほどなのだが...
まぁ,ここで反発しても仕方ないのでスルーするけ怒。
「だがもっと発展させたいだろう。俺が素晴らしい労働力を連れてきてやったぞ」
そうしてルーボが連れてきたのは領都イールのスラムで孤児だった労働力になりそうも無い弱り切った子供たちだった。
「それはありがとうございます」
しょうがないのでそう言っておいた。
領都イールのスラムの大人は仕事があると言ってかなりの数がパスに流れてきた。
しかし,親のいない子供たちは来ることが無かった。
子どもにとって住んでいる場所から離れるのは相当な冒険になってしまうからだろう。
「これで汚いスラムから全員いなくなり再開発ができるというもの。この村も労働力が得られて良いこと尽くめということだ」
どこが良いこと尽くめなのか分からないがこうなっては仕方がない。
子供たちを引き受けよう。
こうしていい嫌がらせが出来たと清々しい顔をしてルーボは領都へ帰って行ったのだった。
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