再会⑥
化け物カマキリの集合体を抜けると、敵の姿は皆無だった。ゆえにめく敵の部屋までなんの障害物もなくスムーズにたどり着くことができた。
「ここにラスボスがいるんですか?」
弦音はそう尋ねながら、『社長室』と書かれた標識を見る。
「そうだよ。プンプン感じない?」
ナツキが聞き返した。
「感じる?」
なにを感じるというのか、弦音にはよくわからなかった。なにも感じないといえば嘘になる。
ただ恐ろしいものがその向こうにありそうで怖いという気持ちはあるのだ。
それをナツキの言う“感じる”ということならばそうだろう。
「霊気だよ。違うかな?鬼気かなあ」
ナツキは首を傾げている。
「どっちでもいい。“ぼたうち”すればいいんだろう。それが今回の任務だろう?」
朝矢が扉を睨みつけたまま言った。
「そうだよ」
「ぼっ……ぼたうち?」
「トモ兄~~。ツンツンにわかるようにしゃべってよ~~」
「ちっ。そんなもん。後だ。後」
朝矢は自分の言った方言を説明するつもりもなく、ドアノブを掴んで思いっきり、引っ張った。
けれど、開かない。
ビクともしない。
「くそっ」
もう一度引っ張ろうとしたとき、「あのお。それ、押すほうじゃないんすか?」という弦音のツッコミに朝矢の動きが止まる。
そして、弦音を睨みつけた。
いやいや、そんな睨まれるようなこと言っていないんですけどと弦音は無意識に首を横に振る。
「朝兄~~。それ逆恨みだよ~~」
「うるせえ」
その顔が真っ赤になっているところを見ると、相当恥かしかったらしい。
なんとなくおかしくて笑いたくなったが、また睨まれるのも嫌だったので、弦音は笑うのをぐっとこらえた。
朝矢がその観音扉を押す。
そして、“ラスボス”のいるだろう部屋の扉が開いた。




