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【八雲紫】

 妖怪は畏れによって、その存在と力を保つ。

 稀に存在その物が最初から上位クラスの妖怪もいるけれど、大抵の妖怪は人間の畏れなしでは生きられない。


 私ーー八雲紫と云う存在は千年以上の時を生きて来た。

 それ以前の私は人間であったか、それとも妖怪だったかも怪しい。

 自分で言うのもなんだけど、存在がかなり曖昧である。


 友人とも呼べる西行寺幽々子や幻想郷を共に支えた摩多羅隠岐奈の存在を考えると元は人間であった可能性も否定は出来ない。

 まあ、あくまでも仮説の範疇なのだけどね。


 現在の私ーー八雲紫は妖怪の賢者にして幻想郷を陰から支える者であり、博麗大結界と呼ばれる幻想郷との境界を操る大妖怪でもある。

 私と博麗の巫女が結界を管理し続ける限りは幻想郷はその存在を維持し続けるでしょう。


 私が消えた時は考えない方が幸せよ?


 幻想郷は妖怪の楽園であり、人間と調和する事でその存在を保っている世界。

 この世界は外の世界と隔離する事で成り立っている。

 幻想郷へ入る事が出来るのは博麗大結界の縫い目を潜り抜けるか、私に誘われるか、その存在が忘れられた時のみ。


 そして、それとは別に幻想郷は外の世界同様に合わせ鏡が如く、無数に存在し、枝分かれした分岐点が幾つか存在する。

 例えば、ある筈の存在やない筈の存在がその世界ーーその幻想郷にしかないなんて事もある。


 枝分かれした幻想郷の存在しない存在は大抵の場合、強力であり、幻想郷その物の在り方を変異させる。


 殆どの場合は人間が幻想郷の存在に触れ、次第に覚醒ーー或いは文字通り、人をやめる事で私達以上の力を発揮する事が多い。

 私は別世界の私とコンタクトを取る事でその情報を常に有する事でその存在の脅威を認知している。


 そして、そんな強力な存在が他の幻想郷へ干渉し、引力に引かれて連鎖的に影響しないかを考慮するのも私ーーいえ、私達、八雲紫の仕事よ。

 私が妖怪でありながら眠ると云う行為を取るのは他の幻想郷の私とコンタクトを取る為に行っていると思って貰って構わないわ。


 博麗大結界やそんな人間達とのやり取り、そして、人間を好んで食す妖怪などの糧にする為の人間の選別など、私のすべき事は多い。

 そう言う訳で表立った出来事は博麗の巫女に任せている。


 最近では協力者も増え、私達が異変と呼ぶ事件などもある程度、解決されるようになった。

 未だに解決出来ずに混迷する数多の幻想郷も存在するが、それについてはその世界で解決して貰うしかないのが八雲紫同士の決まり事である。

 勿論、例外もあるけれどね。


 世界が無数に存在すると云う事はそう言う事であるのよ。


 そして、それ故に私ーー八雲紫の存在のすべき事は大きい。

 私ではない私は努々、これを忘れてはならない。

 特に世界同士が干渉する時は要注意である。

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