05
「え、何この部屋?」
「これは……衣装部屋?にしては本格的だね。ウィッグまである」
「孤児院には孤児院特有のイベントがあるんだよ。さ、時間ないしキリキリ行くよー!特にディアスは、完璧に化けないとね!」
ニコニコニコ。
マクルスの笑みが怖いと思ったのは、これが初めてだった。
性格が違うことが当然だというカノンに皆が突っ込み、説明しろと詰め寄って。
マナの5年間を簡潔に話し、三者三様の反応をもらい。
滞在時間はすでに、一時間弱。
痺れを切らしたのは、やはりカノンだった。
「あーもうっ!過去のことはもういいでしょ?いい加減早く本題に移りなさいよね!」
「えーもうちょっ……分かった、分かった行くから!行くからそんな虫ケラ見るような目で睨まないで!」
「うっさいわねアンタなんか虫ケラ以下……って、行くってどこへ?ここで話すんじゃないの?」
「酷すぎることはひとまず置いとくとするね。ここだといつ子供達が乱入するか分からないし、きっと外から見張られてると思うんだ。だから初めから、シスターに挨拶したら移動する予定だったんだよ」
「じゃあ早く連れていきなさいよ!」
あぁもう、まどろっこしい!!
どんな事情があるか知らないが、場所がここではないのなら、呑気に挨拶などしてる場合ではない。
少なくとも、カノンには一分一秒たりとて無駄にしたくないのだ。
挨拶なら他のときにしてくれ。
そんなカノンの視線をスルーして、マクルスはシスターに声をかけた。
「シスター、悪いんだけど表の車一旦帰らせて夜に来るよう言ってくれる?それとあの部屋まだあのままだよね、何個かしばらく借りててもいいかな?」
「分かったわ。あの部屋なら変わりないし使ってもいいけれど、何に使うの?危ないことじゃないのよね?」
「危なくならないために使うのさ。心配してくれてありがとシスター、なるべく早く返しに来るね」
「ええ、待ってるわ」
ああ、挨拶は必要な事だったのね。
トントン拍子に進む会話に納得し、マクルスが動き出すのを見て二人とも黙って着いていった。
――――という事柄を経て。
今の三人――特にディアスは、パッと見だと誰か分からない程度には容姿が変わっていた。
帽子だけでも十分だったのは庶民に対してのみであり、城にいる人物には使用人含め誰一人として変装効果は無いから。
そう言うマクルスと調子に乗ったカノンによってオモチャにされたディアス。
結果はお察しで。
まぁ、王子と分からなければいいのだ。うん。
「えーと、あとは……ここだっけ」
着替え終わるとマクルスは、窓から死角である服が散らかっている中心を漁り始めた。
そして、一分もしない内に出てきたのは。
「……え、何これ?穴?それとも地下室かしら?」
「通れるのかい?」
「ボクも1ヶ月に二~三回くらい使ってるから大丈夫だよ。じゃ、着いてきて」
いやアンタ、ここには長く来てなかったんじゃなかったの?
シスターへの挨拶の意味は?
そんな言葉は、吸い込まれるように穴に入って行ったマクルスとともに。
消えた。
「ジメジメ、なるほどね。……まさかココを歩くことになるとは思わなかったわ」
「あははー、だから言ったでしょ」
消えた先に着いていくと。
出てきたのは。
下水道。
え、いやマジで伯爵令嬢てか王子つれて歩かせるとこ!?
そんなツッコミが思い浮かぶも、連れてけと言ったのはカノン自身だ。
今さら、無かったことには出来ない。
口から出る文句は、最小限だ。
けれど。
かれこれ30分は歩いている。
あぁ疲れた。
これが、二人の心からの思いが重なった瞬間だった。
「まぁ、新鮮ではあるよね。俺達の人生には縁の無い場所だし。で、目的地はまだ先なのかな?」
「いや、もうすぐそこだよ。あ、ほら見えてきた」
「あれは……扉?下水道に?」
「そうだよ、ボクが取り付けたんだ」
「ねぇマクルス。君、ここが公共施設だって知ってるよね?」
「うん、だからね」
ガチャ
マクルスが扉を開けると、明らかに下水道ではない、小綺麗にされた部屋があった。
いやいや水はどこいったの?
ていうか壁が土じゃなくない!?
あれ、音が響くどころか防音になってる!!?
驚いて壁を叩くディアスたちに、マクルスはニヤリと笑い。
バタン。
扉を、閉じた。
「ディアスとカノンのこと、マナのこと。秘密にするから、この部屋のことも内緒にしてね」
更新遅くなってすみません!更新出来てない中でもブクマしてくれた方、外さないでいてくれた方、読みに来てくれた方々ありがとうございます!!
今年中に更新したくて、ちょっと無理やりの更新です。
日本語不自由過ぎるから、もしかしたら手直しするかも(;´д`)
タイトルが違和感ありまくりになってしまったので変更します、すみません(´・c_・`)




