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第三者視点メイン?です。
「ボクがライズ家の養子になったのは、単に子供に恵まれなかったからなんだ。それで、内緒で孤児院から養子を取ることになったんだけど、条件が三つあってね。五体満足であり、年齢が一桁であること。そして、息子だと言えるようにライズ伯爵と容姿が少しでも似ている部分があること。その中で適任だったのが、当時八歳だったボクだったんだ」
そして。
産まれたときから病気で、病院から出られなかったことにして。
元気になったからやっと一緒に暮らし始めた呈にして。
居場所があったのは。
5年間だけだった。
よくある話さ。
そう自虐的に嗤うマクルスに、カノンは嫌でも納得した。
ライズ家の次男は、二歳だった。
否、ライズ家としては長男となる。
マクルスは二年前、突然いらない存在になったのだ。
「だから、ウチに婿入りの話が出たのね」
「うん。ライズ家の義両親も可愛がってくれたし、いきなり要らなくなったから捨てようとは思わなかったようでね。友人関係だったカノンさんのお父上に話がいったんだ」
「こっちはいい迷惑よ」
「あはは、ゴメンね~」
カノンの怒り顔を、またかと思いながら軽く流す。
出会い方が悪かった。
まさかカノンがそこまであの侍女を大切にしている存在だったとは思わず、軽口で頂戴と言ったこと。
それからずっと、マクルスに対するカノンはこんな態度だ。
怒り顔以外も見たいと思っていた。
さっさと謝ってしまえばいい。
マナのことは悪かった、もうそんな気ないから仲良くしてほしい。
そうすれば、きっとカノンは普通のクラスメートと同じように接するだろう。
皆と同じように、少しくらいは笑いかけてくれるだろうとは、思う。
けれど。
言えない。
もう、そんな気″しか″ないのだから。
「って、ボクの話はもういいよね。時間もないから少ししか話せないだろうけど、マナのことでシスターに何か聞きたいことはある?」
「そうね、じゃあ一つだけ」
「一つでいいの?」
「私の方が長くマナと一緒にいるのよ。大抵のことは私の方が詳しいわ」
そう言いながら、チラリと視線をシスターへと向ける。
けれどシスターはその視線に気づいていないようで、憐れむような目をマクルスに向けていた。
ライズ家、伯爵家への養子の話。
この孤児院に降ってわいた縁組は、間違いなく良縁だと思っていた。
けれど。
孤児院を出ないほうが、マクルスは悩まなかったのかもしれない。
シスターの脳裏にそんな考えが消えては浮かび、消えては浮かび。
堂々巡り。
「シスター?聞いてる?」
「――あらっ!嫌だわ私としたことが、ボーッとしていたみたいね」
「え、大丈夫?」
「勿論ですとも。それよりフェリシア様、失礼しました」
「カノンで良いわよ」
「では、カノン様。私に聞きたいこととは何でしょう?」
マクルスの声で正気に戻ったシスターは、改めてカノンに向き直った。
「えぇと、何て聞けばいいしら……そうね、マナは病気持ち、いえ過去に倒れ性格が変わるなんてことはあったかしら?」
「え?いえ、ずっと健康でしたわ。マナはここでは珍しいくらい、風邪も引かない子でしたのよ。性格もずっと、大人しくて優しい良い子でしたわ」
聞きたいことって、そんなことなの?
そんなシスターの疑問が表情にありありと映る。
けれど。
シスターは知らない。
5年前のあの日。
マナが倒れたこと。
性格が変わり続けていること。
そして。
ラルミネ学園正門前で倒れたときは、性格が変わらなかったこと。
性格変化は何がトリガーなのか。
今のマナを創るモノは、なんなのか。
「マナが大人しい性格だって?いや優しいっちゃー優しいけど。でもシスターの言うマナって、ボクたちが知るマナと本当に同一人物?」
「マクルス、アンタ何言ってんの?」
「何って、カノンさんは不思議じゃないの?あの口調やノリ、刃物に向かう行動とか。あれ、絶対大人しい子じゃなくない?」
「別に不思議じゃないわよ。私、その頃のマナも知ってるから」
倒れる前の、一番初めの性格だもの。
そう言うとマクルスも、傍で大人しくしているディアスも驚いた声を上げた。
…………ディアス、いくらバレないようにとはいえ静かにしすぎじゃない?
主人公出なさすぎじゃね?
予定ではそろそろマナ側に視点戻るはずだったんだが……話が進まない(;^_^A




