03
第三者視点です。
車で走ること30分。
マクルスに案内され、来た場所は。
「ここって…………孤児院?」
「そう、訳アリで親と暮らせなくなった子供が入る施設だよ」
案内しながら、慣れたように扉を開けるマクルス。
孤児院。
――――どうして、ここに?
ここはマクルス本人が言うように、子供がいる。
それも、数多く。
……秘密の話をするには適さない場所のように思うが。
そんな各々の気も知らず、マクルスは近くにいた人に話しかけた。
「ただいま、シスター」
「おやマクルスかい!おかえり、久しぶりだね」
「うん……最近忙しくてさ。なかなか来られなくてごめんね」
「いいんだよ、たまにこうして顔が見られるだけで充分さね。ところで、そちらの方はひょっとして……」
シスターと呼ばれた年配の女性が、パッと振り返る。
この先にいるのはカノンと…………帽子を深く被ったままのディアスだ。
本来なら名乗るべきだが、今はお忍びのため公には出来ない。
けれど、王族。
大衆に知られているはず。
もちろんシスターもしかり。
――気づかれたか?
「ああ、やっぱり!フェリシア様じゃありませんか、お元気そうでなによりですわ」
「え?ええ……ありがとうございます」
杞憂だった。
シスターは王子の顔なんざ見ちゃいなかった。
帽子は偉大である。
……と、思っておこう。
それよりも。
親しげに話しかけるシスターに、ディアスもマクルスも、当の本人も不思議そうな表情をした。
「え、シスター?カノンさんのこと知ってるの?」
「あら、マクルスは覚えてないのかしら?いえ、そうね。貴方まだ6つだったものね」
「…………あ」
6つ。
そうだ。
思い出した。
「ここ、私とマナが初めて会ったところだわ」
「えええ!!!??」
二人の声が響いた瞬間だった。
「それにしても、まさかマナがここの出身だったとはね」
来客用の部屋に案内され、お茶を出される。
一刻も早く救出作戦を考えたいところだったが、男二人が異様な感心を持ったため、少しの間滞在させてもらうことにした。
シスターは躊躇していたが、マナの話を聞きたいカノンやマクルス達に観念しマクルスの隣に腰をおろす。
ちなみにディアスは帽子を深く被ったままで変質者さながらだったが、マクルスやカノンの知り合いなら変な人ではないだろうと思い、シスターはスルーしていた。
「まさかってマクルス、覚えてないかい?マナによく懐いていたじゃない。ほら、マナにはよく遊んでもらっていたでしょう?」
「え、本当?覚えてないよ」
「そうなのかい?まぁマクルスも6歳だったものね、覚えていないのも無理ないかねぇ」
それに驚いたのは、今度はカノンの方だった。
6歳。
まさか、マクルスもココにいた?
いや、本当にまさかの話だ。
カノンのように来たことがあると言われた方が話が早い。
「マクルスも6歳の頃、こちらに来たことがあるんですか?」
「…………マクルス、お前まさか言っていないのかい?」
「うん、まぁ。でも言う覚悟は出来てるから良いよ」
疑問が確信に変わる。
おかしいと思っていた。
長男であるはずのマクルスが、なぜフェリシア家への婿養子という話が出たのか。
なぜ、マクルス自身があっさりと了承しているのか。
家を継ぐのは、次男である弟だった。
それは、ライズ家にとって至極当然のことだったのだ。
なぜなら。
「ボクは産まれた直後に捨てられて、ココで育ったんだ。ライズ家には、8歳の時に養子に入ったんだよ」
体調やメンタルが更新速度に直結している……読者様方に忘れられてないか心配です( ;´・ω・`)




