05
もぐもぐ
さくさく
ばっくばく
くぁーっ!
めっちゃうまー!
「おまえら、良いモン食ってんなぁ……!!」
「アップルパイですか?俺は甘い物が得意じゃないので、俺の分も食べていいですよ」
「アンタが神か!!」
「王子です」
すっかり餌付けされてる気がしなくもないが。
ここに残る理由が出来ちまったからな。
少なくともストレスフリーでなければ!
てか何で俺の情報持ってんの?
ぶっちゃけ必要か?
庶民だぞ?
――いったい、どこまで知られているやら。
別に好物とかはどうでもいい。
快適な暮らしが出来るなら万々歳。
でもな。
俺は、転生者だ。
リークみたいな例はあれど、そう滅多にはいないだろう。
いや、そもそもリークとしての人生は最初からここラルミネ王国とともにあったな。
俺だけが、異端だ。
さすがにこの事実だけは知られてはいけない。
リークは大丈夫だが、他のヤツが知ったらナニをドウ利用してくるか分かったモンじゃねぇからな。
といっても、俺に出来ることなんてないんだけどさ。
スキルやらチートやら異空間のアイテムボックスやら、やってみたかったがここは魔法があるなんて詳述は見られなかったからな。
魔力もあるかどうかすら分かりゃしねぇ。
俺が出来るのは。
「経済学なり帝王学なり、勉強して少しでもカノンのタシにしてやらぁ!」
「フェリシア嬢は関係ありませんが、やる気になっていただけたなら何よりです」
「それではこれからマナ様の家庭教師を紹介致します。準備が出来次第マナ様の部屋となる、先ほど着替えたところへ向かって下さい」
「…………早くね?」
仕事が早いのは良いことだけども!!
今日来てすぐに家庭教師って、まるで強盗すら企んでたみたいなスピーディーさだな。
……企んだわけじゃないよな?
偶然だよな!?
ふむ。
ここは王城じゃなくて魔窟だったか。
とはいえ、決まってんならしゃーねぇか。
もぐもぐもぐ。
最後の一口を口に詰め込み咀嚼して。
俺はのんびり、部屋を出た。
バタン
賑やかかった部屋に、静けさが戻る。
「…………ふっ」
「いかがなさいました?」
「いや、マナは面白いヤツだと思っただけだ」
誰の目から見ても、初対面時のキリアスは態度が悪かったはずだ。
嫌っている、そう思われていても仕方がない程にはキリアス自身もマナを嫌悪していた。
それから一度も会っていないのだ、態度を変えたとて、それ自体は変わっていない可能性が高いのはマナとて知ったことだろう。
なのに。
「物怖じしないところは、好感が持てるかな」
「キリアス様が好感、ですか?それは珍しいですね」
「おや、俺はシエルのことも好ましく思っているよ?」
「それは……光栄でございます」
シエルは仕事が出来るからね。
そう暗に言われているであろう言葉に、シエルは複雑な思いで頷いた。
キリアスが慕っているのは、父親である王を除いては二人しかいない。
ディアス第一王子
ロキ騎士団長
幼い頃から一緒にいる彼らには、目に見えない絆というものがあるのだと。
擬物を信じていないシエルでも、そう思ったものだ。
……今、ディアス王子と険悪になっていることが信じられないくらいには。
「ふふ。兄さんがマナを気にする理由が、少し分かった気がするよ」
「キリアス様。……カップ、片付けますね」
「ああ」
貴方は、マナ様に何を求めていらっしゃるのか。
聞けばモルモット以外の答えが返ってこなそうな疑問を飲み込んで、シエルはキリアスの前にあるカップに手をつけた。
ああ。
カップが、重い。
体悪くすると文字が書けないのツラい( ;∀;)




