02
キリアス視点です。
この国の第二王子と生まれ、幼い頃から国な歴史や経済状況等の勉強をしてきた俺は、順当に能力を伸ばしていった。
その頃にはもう第一王子である兄が王になる事に異論が無かった俺は、自分が出来ることを増やして王なる兄の手助けをしていこうと、ずっと心に誓っていた。
ラルミネ王国の王子として生まれた以上。
やるべき事は湯水のごときあるのだ。
けれど。
あの夜。
長い廊下を歩き父上の部屋を訪れた俺は、扉を数回叩き入室の許可を待っていた。
けれど少し経っても返事を得られず、再びノックをしてみるもやはり返ってくるのは無音だけ。
……無音?
そういえば、中から何か聞こえてくるな。
俺は扉に耳を当て、微かに聞こえる音を拾う。
これは……誰かと、話している?
こんな夜中に誰――――……
『……いけるのか。私は――――学園を卒業後、旅に出たいと思っています』
!!?
この声は、兄さんなのか?
旅?
この国を、出る?
な
ぜ
?
ガチャッ
『……旅に出る?』
考えがまとまらない。
けれど、これ以上兄さんから聞きたくない。
気づいた時には扉を開け、声を上げていた。
気づいた時には、話も聞かず捲し上げ。
気づいた時には。
自分が王になると。
俺は兄さんに――敵対宣言をしていた。
そして。
『ディアス様を、ですか?』
『ああ。どんな小さな事でも必ず報告しろ』
『畏まりました』
俺の影となり裏事情の全てを担う組織の頭に、兄さんを調べるよう命令する。
今の兄さんにはきっと、何か裏がある。
そうでなければ、国を出るだなんて話を兄さんが言うはずがないんだ。
あの兄さんが。
そう思う程度には、俺は兄さんの事を信じていた。
――――そして。
見つけたのがマナという女の存在だった。
「あの人も迂闊だよね。普段が品行方正だから、何かあればすぐに分かる」
「……キリアス様は、本当にマナ様を妃にするのですか?」
「まさか。そんなわけ無いじゃないか。庶民だよ?ただの――――あの人のお気に入りってだけの、ただの庶民だ」
「では、なぜあのような事を?」
マナを隣の部屋へと連れていったシエルが戻り、待っている間の紅茶を淹れる。
なぜ?
逆になぜそんな分かりきったことを聞くのか。
「決まっている、マナを俺のモルモットにするためだ」
「モルモット……?」
「シエルが調べたのだろう?マナの、例の5年間を」
5年間。
これはマナを語る上での最重要事項である。
兄さんを調べる最中に出てきたのが、マナの名前だった。
あの夜の数日前に、兄さんが初めて出会った女。
知った時はショックだった。
まさかあの兄さんが女にうつつを抜かしているのかと。
それでも何かあるのでは、と。
マナを調べていって、驚いた。
血が出ているのに外傷がなく、それでいて原因不明の衰弱。
――――平和な国、″ラルミネ王国″。
この国の誇りが覆される、『事件』だった。
そして。
ラルミネ学園前での。
「あの事件と、引ったくり事件。そして今日の、強盗事件。王国の誇りを揺るがす事件には、いつもマナが関わっている」
「それは、確かに」
「俺が王となるために、マナの存在は邪魔でしかない。が、それ以上に興味深い」
だから。
いろいろと調べさせてもらう。
この俺が。
飽きるまで。
今はまだ――……
ドタドタ
バン!!!
「なんっっっで俺がこんな格好せにゃいかんの!!!??」
「お綺麗ですよマナ、馬子にも衣装とはこの事ですね」
「褒めてねーーーだろ!!」
この煩い女に、愛言葉の一つでも囁いてみようか。
タイトル変えずに視点変えちゃってすみません。
分かりづらくなるかと思ったけど、続いているので……(;´д`)




