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08


「オラオラぁ!テメェら金出せや!!」

「ひっ!?」

「なな、なにっ…!?」



おうおーう。

厨房の人等も驚いてんな。


ま、そりゃそうか。

今まで強盗なんか来たことないだろうし。



でもここは厨房。

料理器具がいっぱいある。




……皆で協力すりゃあ、犯人の一人くらいノシちまえそうなんだが?




あ、俺も協力者って思われてんのか。

こりゃちとまずったかな。


いや、それ以前に彼らも腰引けてるしな。

流石に無理か。

ヤれとは言えん。




さて。

どうやって時間を稼ごうか。




「ところでボス、なんで強盗なんかするんですかい?」

「あん?そりゃ金がねぇからに決まってんだろ!そのうえ職もねぇ、食いもんもねぇ、住む場所もねぇときた!無い無い尽くしだ、嗤うっきゃねぇだろ!!」



途端、強盗犯の腹が盛大に鳴る。

まさか鳴るとは思わなかったのだろう、強盗犯はチッと舌打ちし、恥ずかしそうにその辺にあったトマトを食べた。


おい。




窃盗だぞ。

と突っ込みしようと思ったが、コイツは既に強盗している身。


よほど空腹だったのか美味しすぎたのか、もう2~3個と手を伸ばす強盗犯に、俺は思わず苦笑した。



俺は比較的近くにいたコックさんに思いっきり近づく。


あ、ビクッてされた。



「(アイツが食べたのは俺が金払うから、時間稼ぎに丁度いいしこのまま好きなだけ食わせてやってくれ)」

「(え、あ?時間稼ぎって、貴方はこの男の仲間では……?)」



んなわけあるか!



と言いたいが、ここは怪しまれても困るから笑顔で誤魔化しておく。



再びビクッてされたけど知らん!

余計怪しいなんて分からないんだからな!!!



……

……

……やめよ。

考えるだけ空しいわ。




「へぃボス、この兄ちゃんがなんか作って下さるってよ!」

「え?あ、はい!」

「おっ、そりゃあいい!美味ぇモン持ってこいよ!」




…………コイツ、アホだな?




強盗犯が長居するって、マヌケもいいとこなんだが。





「それにしたってチョロ過ぎんか?」

「あん?何がだよ?」

「何でもないでやんすよアニキ」

「ボスじゃねぇのかよ。はー、まぁ別に何でもいいけどな」




呆れた風にため息つかれた。

なんでじゃい!




つか、そろそろ誰か来ても良い頃じゃ……




ガチャ




「誰だ……ぐっ!?」

「オヤビーン!!え、なにこれ??」

「全く、何をしているんですか貴方は。犯罪者に施しなど無用です」

「待ってキミじゃない!」



いや。

うん。



確かに誰か来ないかなって思ってたけどさ?

学生さんにペンと紙借りてhelpって書いてポケット閉まってさ?

一瞬ドア開けた時に書いたヤツ出してさ?



そろそろ誰か助けに来るかな~?って待ってたけどさ。




うん。

えぇと?





「…………キミ、さっきの学生さんだよね?めちゃめちゃ怯えてなかった?」

「貴方が行動に移すか気になりましたもので、場に合わせた対応を取らせて頂きました」

「演技なの!?学生ってのは嘘なの!!??」

「それは本当ですよ」



いやそこはどーでもいいよ!

じゃあ聞くなって思うだろうが、うっせぇ俺は今混乱してんだよ!!!




厨房に入ってきた学生さんが強盗犯ぶん殴って気絶させた……ってナニコレ!?

俺動かなくてよかったんじゃね!!?




コックさんたち大喜びしてるけど、正直それどころじゃない。




「なぁアンタ、もしかして俺のこと知ってんの?」

「多少は」

「なぜ?」

「我が主君の命で、少々調べさせて頂きました」

「主君?誰だよ!?」

「そろそろ到着なさるはず――――ああ、いらしたようですね」




どこに持っていたのか、強盗犯を縄で縛り上げる学生さん……学生さんって言いにくいな、後で名前教えてもらおう。

とにかく気絶したままの強盗犯を引きずりながらフロアに出て見れば。




そこにいた、人物は。






「久しぶりですね、マナ。お会いしたかったですよ」

「おまえ、キリアス?なんでここに?」

「さあ、なぜでしょうね?」







俺のことが嫌いなはずの、キリアス第二王子だった。






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