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シンデレラにならないお嬢様



ギャルゲー『ラルミネ王国物語』



それは、父親に「卒業したら家の選んだ婚約者と結婚」と言われた伯爵家生まれの主人公がついに最終学年になってしまった、そんな絶望的な話から始まるバロメーター重視の恋愛シミュレーションゲームである。


だがこの主人公。

二年間サボっていたのか、初期のステータスは最低なもんだった。



ふざけんな!

ちったぁプレイヤーに楽させろや!!!!



まぁゲーム上無理があるのはわかるが、そう言いたくなるくらいにはバロメーター上げが大変だった。



……まぁそれは置いとくとして。



恋愛を成熟させるために必要なことはいくつかあるが、その中でも大切なこと。

それは攻略対象者の好みに合わせた、秀でた何かがあることだった。



例えば、知能。

頭が良くないと攻略出来ない。


不思議なところでは、戦闘能力。

貴族に必要なのか?と思いながら体力向上を目指したもんだ。



もっとも他のバロメーターも、それぞれのキャラに合わせてだがそれなりの必要値がある。

一つ二つ上げればいいという物ではないのだ。



とにかく。

その中でも最難関の、王国への嫁入りを目指すとなれば。



必要なのは。










「カノンお嬢様、その姿勢を後30分続けてください」

「ちょ、まだ…っやるの!?いい加減に、してほしい、んだけど!!」

「言葉遣い減点2です。これで本日の減点が二桁となりましたので、ペナルティ施行致します」

「うっ…」




必須条件。

それは。




――品格、だった。




(このじゃじゃ馬娘に一番足りないモンじゃねーか!!!!!)




今のお嬢様に最も必要なこと、それは美しい言葉遣いと姿勢を身に付けること。



…、先は長ぇな……




今お嬢様は頭の上に本を乗せてい続けている。

姿勢といったらコレだろう。

但し時間は二時間を越えているが、正直改善されたかどうかは分からん。



まぁまだ初日だ、気長にやるか。



ちなみに俺が礼儀正しく話してるのは、教わるなら教える側もきちんとしろって言われたからだ。

確かに一理あるので、俺もすぐに言葉や立ち振舞いを正した。


ついでに言うと、ペナルティは簡単だ。

今日のおやつの予定だったワッフルをやめて、小さめのホールケーキにするんだよ。



ん?ペナルティになってないって?


いーんだよ、今の子はダイエットダイエットって煩いからな。



逆に食わせたほうが罰になるんだよ。











「あら、そろそろティータイムの時間じゃないかしら」



あれからまた数十分過ぎた頃。


ふいに時計を見たお嬢様が、ティータイム――休憩を言い出した。

それをジト目で見てから、俺も時間を確認する。


――確かに。


休憩するには丁度良い時間か。

俺はふぅと溜め息を一つ吐き、お嬢様の提案を了承した。



「わかったよ。じゃあ約束通り、デザートはホールケーキな」

「やった!……ってホールなんて嫌よ、せめて4分の1くらいにしなさいよね!」



太る太らない以前に、そんなに食べられないわ!


――確かに。(二回目)



いや俺はホールくらい軽く食うけどな。

甘いものが好きで大量に食べられる俺基準で考えるのは、さすがに無理があるか。



そんなことを考えながら、うーん、と軽く伸びをする。

久々の立ち振舞いに若干肩が凝ったぞ。



お嬢様に言われてレッスン中以外は普段通りの喋り方で良しにしたけど、正解だな。


普段もきちんとした言葉遣いをした方がいいのは解っちゃいるが、ずーっとそうってのも息が詰まるからな。


ストレス溜め込むだけ溜めるのは良いことじゃない。

上手く発散しなきゃ、いつか爆発する。



だから俺も会社で――――……




……とにかく。




デザートを変更するのだから、料理長に言ってこなきゃな。うん。



部屋のドアに手を掛けた。



「ちょっと、どこ行くのよ?」

「いやどこっつーか、デザートの変更を料理長にだな」

「必要ないわ」

「ん?」




ペナルティ破棄する気かコラーーーーー!!!??





って思ったら、外からドアをノックする音が聞こえてきた。




え、何?

誰か知らないけどタイミング良すぎじゃね?





……ホラー?






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