システム様のお戯れ
ここラルミネ王国物語には、四季がない。
普段は程よい暖かさを保っていて、王族のプライベートビーチみたいな場所は何故か暑く感じられ水着で過ごせるだけの気温もある。
暑いだけかと思いきや、不思議なことに山の一部は寒く感じられ、ウインタースポーツも可能だったりする。
好きなときに好きな服装になり。
好きなときに好きな遊びが出来る。
夏服冬服といった概念もなく、日々の変化はあまり感じられない。
緩やかに時間が過ぎる日々。
そして今日も、そんな日常になるはずだった。
「は?今なんつった?」
「だから、今夜は父と食事をとることになったのよ」
「……はー、そりゃまた珍しいこともあるもんだ」
「全くだわ」
カノンが学園から帰ってきて早々。
着替えを手伝っているときにポツリと呟かれた言葉は、なかなかに衝撃的だった。
ふー…と深い溜め息をこぼしながら言うカノンに、俺は一抹の不安がよぎる。
ゲームん時は、父親と夕食なんてなかなか無かったんだが。
それこそ、何か用が無い限りは。
――あのタヌキ、何企んでんだ?
……
……
……
いや、考えててもしゃーないか。
息子と娘じゃ扱い方も違うだろうし、単純に一緒に居たいだけだったりして。
疑うのはよくないヨクナイ。
パラリ。
脱ぎにくい上着を脱がすと、俺はカノンから背をむけ目をつぶる。
最初こそカノンはその行動に不審がっていたが、俺が折れないと分かるとすぐに諦めていた。
いーじゃん!
脱ぎにくいのは上着だけで、下はファスナー下げるだけじゃん!
ふんっ、こちとら他人の女体なんて下着すら見れねーっつの!!
「ん?じゃあ俺はその場にゃ居れねぇな。ま、しゃーねぇ。ドアの前に待機してっから、何かあったら言えよ」
「なによそれ? そんな心配する事ないわよ、きっと」
「やーでもいきなり皆の前で娘の婚約者発表しちゃうようなヤツだからな、あいつは」
「……嫌なこと思い出させないでよね」
ふー。
再び同じような溜め息をつくカノンに、俺は苦笑を返した。
カノンの婚約者、か。
そういえば、発表があってからもう一ヶ月くらいなるんだよな。
ゲーム通りに進んでたらそろそろアレが起こる時期だけど、今はゲームより数年早い。
それに、そもそも全員性別違うしな。
婚約者含め、ディアスとかロキとかとは実際どう進むのか。
ふむ。
さっぱり分からんな。
「マナ、後ろのボタンつけて」
「ん、りょーかい。……と、よし出来た。あとは俺が片しとくからカノンはゆっくりしとけ。すぐおやつ運んでくるわ」
「そうね、任せるわ」
よいしょ、っと。
カノンが脱ぎ散らかした服をハンガーに掛けながら、俺は今日のおやつに想いを馳せるのだった。
「はー、世知辛い」
リークに呼ばれ部屋を出たカノンと。
カノンの後ろをのんびりと歩き着いていく俺と。
着いた部屋で俺を閉め出すリーク。
知ってたけどさぁ!
目の前でバシンッてすることなくね!?
……いや、うん。
言われた訳じゃねぇけど知ってる。
俺が、あのタヌキ親父に避けられてるってことくらい。
だって俺、2ヶ月ここで暮らしてるけどまだアイツと会ったことねーもん。
会う機会なら、有りそうなもんなのによ。
ま、いいけどね。
俺もカノンの父親――ゲーム上だと俺の父親でもあるアイツに会っちまったら、何言い出すか自分でも分かんねーし。
「っと、そろそろ始まる頃か」
廊下にある時計を見ると、丁度19時になるところだった。
トン
音が響かないよう、軽く背をドアに付け寄り掛かる。
んー、無理か。
流石にどこぞのボロアパートと違って分厚い扉に阻まれていて、中の声は聞こえない。
ピックら料理人のいる部屋とは繋がってるから、この扉を使って出入りする人もいない。
うーん、困った。
心配すぎる。
いや、分かっちゃいるんだよ?
カノンは、普通に15年生きてきたわけよ。
そりゃ俺のことがあって小さい内からトラウマだーなんだーあるかもしれんが、父親との確執があるわけじゃない。
分かっちゃいるんだよ。
俺が心配しすぎてるだけだってことはさ。
でもさ。
俺あのタヌキ親父ちょいと好かんのよ。
まぁ向こうは向こうでなぜか俺のこと嫌ってるし?
ほら、ドアに鍵とか掛けられ――…
ガチャ
って開くんかい!!?
「――というわけだ」
「分かりました。マクルス様とその専属執事がいらっしゃるのは、来週ですね?」
「ああ。くれぐれもしっかりな」
「……はい」
マクルス様?
え、誰?
ピ――――
ピピ―――――
ピピピ――――――
うっさ!!!?
ちょ、なんの音だコレぇ!!!!!??
お久し振りです!
日記見てくれた方いますかね?
体調、万全とは言えませんが、大分良くなりました!
体調や疲れなどと上手く付き合えるレベルとなりますが、また少しずつ更新していきたいです。
ブクマしたまま待っていて下さった方々、タイトル見て思い出して来てくれた方、初見で読んでくれた方、ありがとうございます。
またよろしくお願いしますm(__)m




