04
「マナは知っているだろうが、この国には車がある。つまり、移動手段は車だけで充分なんだ」
「ああ、まぁ。そうだな」
「つまり、だ。馬に乗る必要があるのは――戦をする人だけなんだ」
「え、でもディアスとか」
「マナが今言ったように、車は小回りがきかない。だから王族やそれなりの爵位を持つ人物は、敵が攻めてきてもすぐにどんな道を通っても逃げられるように乗馬を習うんだ。表向きは嗜みだの雅だのと言うがな」
おっとマジか。
侍女が、俺が馬を操れるようになること。
それは戦争に参加すると言ったも同然なのか。
なんつー短絡的っつーか、ある意味至極めんどくせぇっつーか!
俺はカノンを守れるだけの力が持てれば充分なんだよ。
冒険物の世界に転生したならともかく、ここはギャル……乙女ゲーだからな!
必要以上の力は不適合なんだよ!
――ん?
いや、待てよ。
そういえばキュアルートだと、国の人質として俺(主人公)が選ばれてたな。
偶然城にいた主人公を見た敵国の従者が、この国の王子だと勘違いして。
否定しようとした王様とティアを遮ってキュアがそうだって言っちゃうヤツ。
キュアはティアが大好きだったからな。
ティアと仲良しの主人公が気にくわなかったからな。
それだけで国民売るとか!
つーか好感度マイナスから始まる攻略相手ってどうなんだ!?
……コホン!
とにかく。
キリアスがどうかは知らねぇが、敵国に負けちゃいかんわけだ。
(――平和を唄う国が戦をするってのも、大概変な話だが)
鍛えておくに越したこたぁない、か。
「分かった。ロキが俺を認めてくれるのを待ってる」
「……認める、か」
「ん?」
「いや、何でもない」
そういうと、ロキは甘ったるいコーヒーを口に含んだ。
それを見て、俺もケーキをつつく。
ちなみに、パフェはもう食い終わっている。
……くっ、今度は2つ頼もう……!
はー、うまうま…
幸せ…
俺、今、生きてる…!!
そんな俺を見て、ロキはクスッと笑った。
なんだ、がっつき過ぎってか?
「マナは、本当に美味しそうに食べるな」
「そりゃもう、美味いからな! ロキも食えよ、このフルーツロールなんてメチャウマだぞ!!」
「……今更だが、マナは俺が、いや男が甘い物好きだなんて嫌じゃないのか?」
「んん? マジでなして?」
「何でって……甘い物好きな男なんて、普通じゃないだろう?」
「はぁ? バカ言うなよ普通だろ!」
今時日本だってそんなこと言わんぞ!?
誰だそんなバカなこと言うヤツは、俺が直々に成敗してやらぁ!!
「俺はな、好きな物は堂々と好きって言えばいいと思ってる。例えばディアスとかロキとか俺とかさ、その人がその人らしくしていられる事が一番大切なんだよ。つーか本来は、好きな事を他人に貶される方がおかしい話だしな」
「その人らしく、か」
「俺だってこんな口調だけど、正式な場以外にゃ改める気はないぜ。長くこの言葉遣いで生きてきたんだ、今更変えられないしな。ロキだってそうだろ?」
「――ああ、そうだ。俺も、変えたくても変えられなかった。駄目だと何度も言われたし、自分でも悪いことだと思っているのにな」
大好きな甘い物。
いや、それだけじゃない。
俺の知ってる、あのロキと同じなら。
「好きな物も、趣味も。……生き方も。誰が反対してたとしても、俺はもっと、ロキが好きなようにしていいと思うぜ」
「……っ、そう、だな……」
あーーーっっ!!
なんだこれ!
かっゆ!!!
いや、俺が言ったんだけどさ!
なんかクッソ恥ずぃ気がしてきた!!
あーあーあーっ!!
「よっし、モモと洋梨のゼリーとプリンアラモード追加すっか!」
「ま、まだ食べるのか!?」
「オメーも食え、オメーも!」
照れ隠しだと分かったのか違うのか。
店員さんを呼んだときにはロキも止めず。
追加で注文したのは全部、二人で無言で食べ終えたのだった。
(流石に食い過ぎた気がする!)
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