02
「チョコバナナパフェデラックスとケーキアソート二倍のせとフルーツシャーベットとー…」
「お、おいそんなに食えるのか?」
「食える食える! あ、あと本日のおすすめとコーヒー二つください!!」
「畏まりました」
訝しげな顔で見られても。
甘いモンは別腹だろ!!
つーか、俺だけ食うわけじゃねぇし。
そわそわした動きをしながら、ドアを閉め去っていく店員さんを眺めているロキ。
いや閉まっただろ。
見えねぇだろ。
つーか見るなよ、そんな珍しい光景じゃねぇだろ。
本来は。
……うん。
やっぱアレか。
喫茶店に来たはいいが、どうにも頼めなくて無難なコーヒー飲んでたクチか。
こんなにいっぱい、甘い物を頼んだ経験がなくて。
自分が食べてもいいのか心配しながらも期待している、初めて会うイベントのロキそのままだ。
こいつ、ロキだな。
「っはー……まさか、おまえが本当にロキ・ゾルクだったとはなぁ」
「こっちこそまさかだ。初対面の女性に名を知られているとは思わなかった。何故わかった?」
「そりゃ…………騎士団長なんて、有名じゃん」
「そうか? 確かに遠巻きに見られはしているが、名を呼ばれたことはないぞ」
心底不思議そうに首を傾げるロキ。
おかしいな、こいつタッパあるしイケメンだし騎士団長なんてどえらい肩書きもあるわけだし、絶対人気あると思うんだが。
つーか、ゲームと名前が変わってなかったヤツ初めてだな。
「それより、あー……マナでいいか?」
「もちろん」
「助かる。それで、マナがルミネスと呼んでいた理由はディアスから聞いている。というか、この国に住んでいるんだし王子の顔くらい普通知っているだろう」
気づくの遅すぎだろ。
いやいや、そう言われましても!
こっちにだって色々事情があるんだよ、事情が!
つーか本人が隠してたら分かんなくね?
オイコラ!
鈍いって言うな!!
ガチャッ
「お待たせしました、お先に本日のおすすめのアプリコットマフィンとフルーツシャーベット、コーヒー二つになります」
「わっ、すっげ美味そう!!」
「あと10分ほどで後の2品も出来上がります」
「ありがとうございます」
コトン
俺の方には、マフィンとシャーベットとコーヒー。
ロキには、コーヒー。
バタン
ドアが閉まると同時に、俺はシャーベットをグイッとロキの方に押しやった。
それに困惑するのはロキだ。
「なんだ、俺は要ら」
「やっぱり頼みすぎちまったみたいでさ、ちょっと手伝って欲しいんだ。捨てるのは勿体ないから、要らないとか言うなよ」
「……そ、それなら仕方ないな」
ちょろっ!!
いや分かるよ?
憧れて憧れて、何とか店に入れても注文出来なかった大好物が目の前にあるもんな。
甘い物が大好きで。
ゲームじゃ普段男装してるから、ここに来るときは凄く女性らしい格好してきて。
周りにバレないように、念入りに。
良いのか、隠してたんだろ?
なんか逆に俺が心配になるくらいアッサリ了承したぞコイツ。
コホン
ロキは軽く咳払いをして、スプーンをシャーベットの中に沈ませていく。
掬い上げ、フルフル震える手でゆっくり口もとに運び。
パクリ
「…………っ!」
あ、うん。
ロキのヤツめっちゃ感動しとるな。
じーんってしてる間にコーヒーに砂糖入れといたろ。
ぽちゃん
ぽちゃん
ぽちゃん
ぽちゃん
ぽちゃん
ぽちゃん
よっしゃ任務終了!
俺もマフィン食べよーっと!
パク「うっめーーー!!」
「感想早いな」
「マジで美味いからな! ほら、おまえも食ってみろよ!!」
「う、わ」
目の前にグイッとスプーンをつき出せば、驚いた声を上げるロキ。
流石に照れるか?
欲が勝つか?
と思ったが、どうやら十数年我慢していた欲は、そう簡単には治まらないらしい。
ロキは、赤い顔をしながらも。
口を、開いた。
ガチャ
「お待たせしました、チョコバナ……失礼しました」
パタン
「…………」
「…………」
「…………」
「…………ゴメン?」
直後。
ロキの声にならない悲鳴が響いたのは言うまでもない。
更新遅れてスミマセン、風邪引いてました……(´・ω・`)
平熱が高くて、38℃くらいならよく出るんですよね(;´∀`)
コロナじゃないです。はい。




