04
いやいや
待て待て
落ち着け、俺。
そう簡単に異世界転生があってたまるか!!!
「――お箸の使い方は以上となります。キリアス様は挑戦されますか?」
「ああ、やってみよう」
「では、持ち方からですね」
そんな俺の心を嘲笑うかのように繰り広げられる会話。
あ、うん。
見たことあるわー、この光景。
「リークって箸の講師なん?」
「まぁお箸もその中の一つではあるけどね。彼のメインはお米だよ」
「米……ってあの、食べる米?」
「そうだよ」
モニターに目を向けるルミネス。
視線の先にいるのは誰なのか。
貴族達相手に忙しく動く、リークか。
それとも。
――それは、今から数年前。
王城に譲渡品が届いた事が始まりだった。
見たことのない、小さな粒。
重いほど大量にあるそれは、袋に敷き詰められていた。
添えられていた一通の手紙には。
遠方すぎて来られない事への謝罪と。
国で一番自慢の主食である米を贈る事。
そして。
米を上手く活かす事が出来たら貿易をしていこうと言う旨が、丁寧な言葉で書かれていた。
その手紙を見て初めて食べ物だと気付いた王や周りの人らは、困惑した。
初めて見る物を調理する方法なんて、考えつかない。
けれど。
その国との貿易を必要としているのは、ここラルミネ王国の方だった。
その国は、医療が発達していたから。
試されている。
下に見られている。
それでも、逆らうことは出来ない。
だから。
王はすぐに国中の料理人や美食家を集め、情報を集めた。
皆で調理法を考えた。
けれど、これといった案は浮かばず。
最近になってやっと、王が国全体に御布令を出した。
どんな事でもいい。
有益な情報には報酬を出す。
――そして得たのが、″リーク″だった。
「パエリアは、彼が考案した初めての米料理でね。それをレシピと共に一筆したためた物をその国に送ったところ、無事貿易が出来るようになったんだ」
「へー!!」
王から報酬ゲットしたんか!
う、羨ましい…!!
「アイツ何貰ったんだ!?」
「え、リークは同僚なんでしょ?彼の功績は気にしないの?」
「んー、でもパエリアなら俺も作れるしな。むしろ何で皆作れないんだよ」
「パエリアを、作れる……!?」
「へ?」
何で驚いてんの?
俺だって一人暮らし長いからな、多少の洒落た料理くらいなら作れるっつの。
「てかピック、いやビクトランスも作れるよ」
「それはフェリシア家専属の料理人かい?」
「ん、そうそう」
「それなら出来て当然だよ、あの場に集まった人にはレシピを開示したからね」
「へー、でリークは何貰ったんだ?」
「……粘るねぇ」
だって王様がくれるんだろ?
庶民にゃ手に入らないスッゲェ物とか貰えそうじゃん!
「人が貰ったものを詮索するもんじゃないよ」
「う、それを言われるとな……分かった、諦める」
「それよりほら、そろそろ終わるみたいだよ」
「あぁ、もうそんな時間か」
言われてモニターに目をやれば、リークは教壇に昇っていた。
「皆様、本日は急な日程でしたが、参加して下さりありがとうございます」
「こちらこそありがとう、次も楽しみにしているよ」
「はい、またよろしくお願いいたします」
挨拶をしながら見送るリーク。
一人、一人と減っていき。
最後に残ったのは、ルミネスの弟だった。
「キリアス様、本日はご足労ありがとうございました」
「礼を言うのはこちらの方です。むしろ本来はこちらが講うのですから、リーク殿が畏まる必要はありませんよ」
「有難いお言葉ですか、流石に王子に対し普段通りでいるわけには」
………
……………王子?
え、キリアスってルミネスの弟だよな?
アイツもルミネスのこと兄って呼んでたし。
で、キリアスが王子?
ああ、そういえばキリアスって第2王子の名前だったっけ。
………
えーと、つまり。
チラッ
思わず隣を見ると。
あちゃーって顔をしたルミネスがいた。
さーて、ゴチャゴチャしてまいりました。
感想ブクマ評価や誤字脱字報告等、くれるものは何でも嬉しいです!
よろしくお願いします!




