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02



「久しぶり、マナ!」

「あ、ルミネスじゃん」



久しぶりって程か?



俺を見つけると、満面の笑みで駆け寄ってきたのはルミネス。



お前は犬か?



てか珍しいとこで会うもんだ。

微妙な時間だけど、メシ食いに来たんかな?



でもここ、いくら王族の親戚だからって一人で来るところじゃない気がするんだが。



「お前、こんな時間にメシ食うんか?」

「ふふ、違うよ仕事で来たんだ。父上が来られなくなったから代わりに、ね」

「ふーん? 代わりとはいえ仕事なんざ、お前もまだ子供なのに大変だな」

「子供って……マナだって働いてるじゃないか。マナと俺、年はそんな変わらないよね?」

「あー…まぁ、確かに?」



俺は"俺"だった時にゃー普通に働いてたからな。



考えもしんかったわ。



「え、てか親の仕事手伝ってんのか? 良いのか?」

「うん、双方納得してるよ。それに今日は……」

「″良いのか?″ですか……兄さん、この方は?」

「わっ!」



何か出てきた!?



ルミネスの後ろからひょっこり現れた……誰だ?

小さくはなさそうだけど、線が細くて分からんかった。



「ルミネスと呼ばれていましたね」

「あ、ああ、そうだったかな?」

「貴方の名前は?」

「俺? マナ・ヒスタリアっつーんだ、よろしくな!」

「…………はぁ」



え、なして溜め息つかれた!?



なんだコイツ、失礼なヤツだな。

初対面の人にゃ笑顔だぞ笑顔!


ブラック企業で生き抜くには例え完徹してても笑顔が大事なんだぜ!!



……ケフンッ!



じゃなくて。



いや、いいよ?

楽しくないときとか嬉しくないときに笑えないよな。

いやうん、分かる。


けどな。

初対面のヤツを睨むんじゃねぇ!




…………あれ?

睨まれてるの、俺じゃなくね?




「まさか兄さん、貴方が女に誑かされるタイプだったとは思いませんでした」

「――なんだって?」

「女性のくせに″俺″と言い、口調もまるで改めない下品さ。どんな知り合いかは分かりませんが、この国にいて貴方の名前も知らないなんてあり得ない」

「ちょっと待てキリアス、言い過ぎだろ。お前にマナの何が分かる」

「知りませんよ。この女が貴方に妙な事を吹き込んだ張本人だって事以外はね」

「違う、マナは――」


「ストーーーーーップ!!!!!」




いやいやいや!!?

なんでいきなり兄弟喧嘩してんだコイツラ!?



ここ街中!

人いるだろ人!!



そう思って周りを見ると……あれ?

遠巻きに二人を見てるけど、なんか羨望っつうか……うっとりしてないか?




あー、あれか。


コイツラ声荒らげてないし、よく見りゃ弟もイケメンだしな。


イケメンが話してんのぁ、確かに目の保養だわな。




それにしちゃ男の視線もあるが。

うん、なんでだ。




――とにかく。



「お前ら仕事で来たんだろ?こんなとこでダベってないでさっさと行けよ」

「あ! そうだね、そろそろ時間だし」




ルミネスはそういうと、弟の手を取って。




振り払われた。




「俺はともかく貴方の事も知らない世間知らずに何を唆されたか分かりませんが、俺の邪魔だけはしないで下さいね」



そう言うと、さっさと一人で歩いて行く弟。



ルミネスの手は、宙を彷徨っていた。



「なぁ、弟と仲悪いのか?」

「やっぱり分かる? 前はそうでもなかったんだけど、最近ちょっといろいろあってね」

「ふぅん……それって俺が原因だったりする?」

「違うよ。これは俺の家……いや、俺とキリアスの問題だから」



そう言いながら、ギュッと手を握り締めるルミネス。



俺は思わず、その手を包み込んでいた。



「マナ?」

「んな強く握ったら血が出んだろ。今から仕事なんだからな、周りの人心配させんなよ」

「――うん」

「にしてもお前手ぇデケェな!」



女になってから初めて気づいた。

男の手って、こんなでかかったんだ。



女が瓶の蓋開けらんないーとかって話は嘘じゃなかったんだな!



「ありがとうマナ。でも勘違いしちゃいそうだから、そろそろ離してくれるかな」

「へ? うん、分かった?」

「これは分かってないね。ふふ、マナらしい」



俺らしいってなんだ?

でもまぁ、力が弱くなったから良いか。



ストレスやらは体に毒だからな!




「ところでマナは、どうしてここに?」

「俺? 俺はリーク……知り合いがここに入ってったから、気になってさ」

「リーク? リークってリーク・モンティス?」

「へ? 知ってんの?」



ルミネスの口からリークの名前が出てくるとは思わなんだ。


何で知ってんだ?

知り合いなのか?



俺の疑問は、続けられた言葉で知ることとなる。








「リーク・モンティスは今日の講師、本来父が教えを講う相手なんだよ」








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