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03

たまにカノン視点です


「で、結局なんで婚約者発表パーティーなんて話になったんだ?」

「それはマナ……貴方の人格が変わった、という話はしたかしら?」

「ああ、乱暴だったり幼かったりってヤツ?」



俺がマナになる前は、いろんなヤツがマナの中に入ってたんだっけか。



……ってことは、いろんな精神を入れたのか。

マナって実は凄いんじゃね?




「そうよ……この5年間、貴方はまるで知らない人のようだった」




ポツリ。

胸にあるモヤモヤを吐き出すように、カノンはゆっくりと言葉を紡いだ。














――死んだかと思った。

でも、死んでなかった。


なぜか傷口は塞がっていて。





マナは死んだように、眠っていた。





公園でのあの日からずっと、眠り続けて。

初めて目を覚ましたのが一ヶ月後だった。



「ここは……?」

「マナ!? ああよかった、目が覚めたのね!!」

「あん?てめぇ誰だよ?」

「……!? マ、マナ!?」

「ぁあ? あたしゃ…………ああ、そうかい。アンタがカノンってヤツか」



目覚めたマナは、まるで別人のようだった。



死の境を彷徨って。

記憶が曖昧になって。

性格が、変わっていた。




私のせいだと思った。

私が責任持って、マナの傍にいなければと思ったの。



けれど。



「アンタ、あたしのご主人サマなんだって?じゃあ部下の不始末は主人の不始末ってことで!」

「また…っ、ダメに決まってるじゃない!」

「へぇー、あたしにそんなこと言っちゃうんだ?」

「マナ、貴方はメイドなんです。カノン様に楯突いては……」

「あーあー、うっさいなぁ! あたしゃカノンもリークもラルミネ王国とやらもどーでもいーんだよ!」



そんな日々を繰り返して。

丁度、一月。



マナが大声を出しながら振り上げた拳が、私の頬を殴っていた。



「カノっ…お嬢様!!」

「な、何でもないわよこのくらい…!」

「はははっ、やられちまったなぁ――――うっ!!?」



その、瞬間。

マナは再び、倒れたの。



また死んだように眠り――そして次に目が覚めたのは、また一ヶ月後だったわ。





それからは、ずっとそんなことを繰り返していたわ。

幼い人、元気な人、せっかちな人。

どんな性格になって眠りから覚めても、いつも一月で倒れてしまう。


おとなしい、当初のマナとよく似た性格のまま目覚めたときも駄目だった。




一月。

それが、マナの生きる目安だった。




そんなある日。

珍しくお父様が、私の部屋に来たわ。



「まだマナは落ちつかんのか」

「お父様……はい」

「ふむ……マナもだが、私はおまえが心配だ。カノンは大丈夫なのかい?」

「私は平気です。ごめんなさいお父様、どんなマナでも私の友達なの。だから……」

「わかってるよ」



それだけ言い、お父様は部屋を出ていった。




そして。








「あの日から5年後の今、マナは今の性格――貴方になった」

「え、でも俺一ヶ月経ったよな?」



こっちの世界に来て。

カノン的には目覚めて、かな?



「そうね。でも貴方の場合……目覚めて暫くは、貴方の性格だけどどこか淡々と生活していたわ。数日後暫くして、ボーッとしていたから声を掛けたら……貴方は、私たちを忘れていたのよ」

「あー」



俺が転生して幼女もとい神様と話してた時だな。


ゲーム知ってるからとか言われたけど、性別反対なんだから色々教えてくれたってよかったよな?



だよな!?



「今までと違うからかしら? 貴方は一ヶ月経っても無事ここにいて、馴染んでいる」

「なー。もう俺のままじゃね?」

「そうね。そして父も、そう思っているのよ」



カノンの表情が暗くなる。



そうか。

それでか。



「それで、今日のパーティーか」

「……『マナが心配無くなった。だからカノンはカノンの幸せを見つけて良いんだよ』……だって。バカじゃない?」

「いや、親なら当然だろ」



子供の幸せを願う親。

うん、普通だ。

虐待っつー話も多い今なら、良い親の部類かもしれない。



……無理やり婚約者を決めさえしなければ。



「当然? 貴方までバカ言わないでよ、私の幸せなんて願わないで!」



なんでだよ?

願うな、なんて無理だろ。




そう反論しようとして、驚いた。




その表情は。

その、眼には。




「カノン?」

「――私は、幸せになってはいけないの」

「なんでだよ、幸せになれよ」

「私はまだ、貴方に対する贖罪を果たしていない」

「俺は良いから!」

「良くない!私はっ、私と出会わなければ、マナは……っ!」

「良いって言ってるだろ!!」





マナがあんな目に合うことはなかったのよ……!!!





うわぁぁあ…!



大粒の涙を流しながら声を上げるカノン。

俺は思わず、その身体をギュッと抱き寄せた。



泣くなよ。

泣かないでくれ。



俺につられ、しがみつくカノンの震え続ける背を優しく撫でる。



あやすように。

慈しむように。




カノンはずっと、苦しんでいたのか。



自分が幸せになってはいけないと。

マナを幸せにすることが全てだと。



それこそ、まだ小さい10歳のうちから。



……いや、今だってまだ15歳。

まだまだ子供といってもおかしくない年齢だ。






「カノンがマナを、俺を赦さないとしても。俺は、カノンを赦すよ。カノンに幸せになって欲しい」

「……うぅ……うぁあ……っ!」




今まで我慢していたんだろう。

涙は途切れることなく流れ続け。










――そのうち泣きつかれて眠ってしまったカノンの背を、俺はいつまでも撫で続けていた――









ここまで一気に書き上げる気だったんですが……遅くなりました(´・ω・`)


マナの過去とか曖昧にしていた部分を書きましたが、もしまだ"ここ疑問だ"とか"もうちょっとこうした方が"とか、なにか感想等ありましたらコメントくださいまし~!


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