02
掃除は天井から隅々と。
骨董品は傷等ないか隈無くチェック。
出す料理を考えて。
人数に合わせた規模のテーブルやら花瓶やらを用意して。
――気がつけばもう、パーティー前日だった。
「クリーム色、ねぇ…?」
「何よ、文句ある? それとも似合ってないかしら?」
「そりゃ似合ってっけどさ」
「…っ!」
「良かったですね、カノン様」
最後の採寸合わせを念入りにするカノン。
着ているのは、オーダーメイドのクリーム色のドレス。
デザインは似合っているけど、何故だかどうも好きになれん。
本当に何でだ?
強いて言うならカノンの髪色も金髪だからか?
うーん、それも理由としちゃ薄っぺらい気がするな。
まぁ、なんだ。
よく分からん。
「では私はこれで。マナも行きますよ、ビクトランスに料理を手伝うよう言われたでしょう」
「あ、そうだった!」
作る量がハンパないからなパーティーってのは!!
俺も一人暮らしが長かったからな。
味付けはともかく、切ったり洗ったりするくらいは手伝うよ。
だから、パーティー食のお恵みを……!!!
バン!
「ピック! 来たぜ!」
「おー、ありがとうマナ、リーク! さっそくそこのコメを用意してくれ」
「コメ!? 米なんてあるんだ!?」
「とても高いから、特別な時にしか出せないけどね。でも今日は旦那様ご指定のパエリア作るよ」
「旦那様の指定ですか? 珍しいですね」
「いつも気まぐれよ」
……ん?
それは、普段のパーティーなら料理は何でも良いように聞こえるぞ?
明日は特別なのか?
それとも、ピックの言うように只の気まぐれなのか?
旦那様。
ゲーム内での、父親だった人。
何か、企んでいる?
……いや、ゲーム本編が始まるのは二年後のはずだ。
まだ、違う。
胸の蟠りは溶けぬまま。
俺は手伝いに没頭した。
パーティー、当日
「いらっしゃいませ」
玄関の扉を前に使用人10人で出迎える。
その内の一人が扉を開ければ、広々としたホールがある。
そこでは同じく使用人10人程度で、コートやら帽子やらを預かっていく。
そこへまずカノンが現れ、挨拶をする。
「フェリシア家へようこそ。来て頂けたこと、大変光栄ですわ」
「こちらこそ、招いていただき光栄ですよ。堅苦しい挨拶は止しとして、カノンちゃんはまた大きくなったね」
「それにどんどん美しくなっていくじゃないか」
「あら嬉しい。おじ様たちと最後にお会いしたのは、ちょうど一年程前でしたわね」
カノンの口調が、大人びている……!?
うぅっ、初日からめげずに勉強時間作った甲斐があったぜ!!!
ちなみに俺は今、玄関ホールでの預かり班にいる。
リークは扉を隔てたパーティー会場でテーブルやらの最終チェックだ。
美味そうな料理の山を運ぶ手伝いもしているらしい。
……くっ、俺はお預けか…!
ガチャ
「カノンお嬢様」
リークが出てくる。
それは、準備が出来たことの合図だ。
「皆様お待たせ致しました、こちらへどうぞ」
客人がみんなして、中へと入る。
「で、俺たちは後なにすんだ?」
「お客様が出てきたら対応するのよ。トイレだったらトイレまでの案内、帰るならコート等をお渡して玄関の扉を開けるの」
「なるほど、飯は?」
「パーティーが終わったらね」
マジか!
ヒマやん!!
そんな絶望が顔に出ていたらしい。
メイドに呆れられた。
ため息厳禁!!
「ほら、表情戻しなさい。遅れて来るお客様だっているんだから」
「へいへい」
つまんね~~~~~
ガチャ
「いらっしゃいませ、お召し物を預かります」
「ああ、ありがとう」
言った側から、遅れて来た人登場ってか。
現れたのは、優雅な佇まいをした男性。
……おかしいな、
なんか、見たことある気がする。
知り合いなんか居ないのにな。
ドクン
ドクン
(……なんだ?)
胸が鳴る。
苦しい。
なんだよ。
なんでこんなに。
――――嫌な予感、してんだ?




