狂い出す歯車
クロム・ミルゲルト
まだ会ったことすらない人物なんだが。
……そんなヤツが、なんで候補者に?
あ!
まさかカノンが会ってんのか!?
そうだよな!
俺の候補者じゃねーもんな!
という疑問を解消するため、学園から帰ってきたカノンにさっそく問いかける。
「なぁカノン 、お前クロムってヤツ知ってる?」
「はぁ? 知るわけないでしょ、誰よそれ」
「マジかい」
「マナの知り合いですか?」
「いや、多分これから知り合う……のかな?」
「なんで疑問系なのよ」
あれおかしいな。
なんか前も似たような会話したような気がするぞ?
――じゃなくて。
クロムを知らんってこたぁ、カノンのヤツさては学園内の図書館にゃ行ってねぇな?
「話はそれだけ?」
「おー……って何してんだ!?」
「何って、制服脱いでるだけじゃない」
「ばっかやろ俺、つぅかリーク居んだろ!」
「私は別に気にしませんが」
そりゃリークの心は乙女かもしれないけども!!!
俺は自分の着替えに慣れたとこなんだ、他の人の着替えなんて見れるか!
……はっ!
違うぞ!?
どっ、童貞じゃなかったからな!!!
「何よ、女同士でしょ? それとも――イケない事、考えちゃう?」
「なっ!!?」
「ふふっ、あはは…! こんなに焦るマナなんて初めて見たわ!」
「ってオイ!」
くっそ、からかわれた!!!
おいカノン!
男心を笑うんじゃねぇ!
リークもだ!!
いたたまれなくなった俺は、乱暴に扉を開けて部屋から出ていった。
……扉の向こう側では更に甲高い笑い声が響いていたなんて、知らないからな!
知らないんだからな!!!
「カノン様、行ってらっしゃーい」
「カノン様、お気をつけて」
俺たちの見送りを背中で受け止め、グレイスの運転する車へと乗り込むカノン。
これが、毎朝の光景だった。
そして。
それを見るたびに、思う。
「車、いいよなぁ……」
「またソレですか?」
「だって歩くより楽じゃん! 遠くに行けるじゃん!!」
「馬は技術次第で乗れますが、車は年齢制限がありますからね。そもそもマナはそんなに遠く、というかどこかに行きたい用事でもあるんですか?」
「ただただ散策したい」
「……さて今日から忙しくなりますからね、仕事しましょうか」
スルーされた!!!
こっちは毎日車運転してたんだ、乗りたくなったって可笑しかねーわ!
って、え?
忙しい?
……今日"から"?
「何かあるのか?」
「おや、言ってませんでした? 来週、ここフェリシア家でパーティーがあるんですよ」
「パーティーだと!?」
美味いモン食い放題じゃねーか!!!
料理長、じゃなかったピックが作る料理はどれも美味いが、パーティーとなるとまた特別なモン作るんだろうな。
あー、よだれ出る!
「マナが何を思って居るか丸分かりですが、当日は残念ながらビクトランスの手伝いです」
「なん、だと…!?」
「出来てビクトランスに私たち従事者の分まで余分に作っていただくよう頼むことですが、量が多すぎるので難しいかと」
「…………俺、出掛けていい?」
「駄目です」
えー!?
参加出来ないパーティーなんてクソつまんねーじゃん!!!
つぅかあの料理長、ビクトランスなんて名前長ぇよな。
みんなピックって愛称で呼んでるんだし、リークもそう呼べばいいのに。
どこで気が緩むか分かんねぇっつっても、そこまで気にせんでもいいと思うんだけどな。
「ちなみに、何のパーティー?」
「何って、旦那様の仕事関係者を招いての立食パーティーですよ。定期的に開いているじゃないですか」
「あー…ああ、そうだったそうだった」
そういやゲーム内でも、誰が相手の時でも必ず三回はやったな。
ちなみに一回目はスタート直後に許婚とやらを発表されたときだった。
初めてやった時はハァ?ってなったけど、その許婚とのルートもあったときはもっとハァァ!?ってなったもんだ。
いやぁ、すっかり忘れてた。
「そういえば、カノン様が入園してからは初めてですね。あれから一ヶ月経つとはいえ、まだやっと生活に慣れてきた頃でしょうに。旦那様もまた急ですよね」
「そうだな」
どうやら、どこぞの忍者の学園長のようにパーティーするのは思い付きらしい。
付き合う方が大変だっつーの!
とっとと攻略者全員出しちゃおうって感じでパパっと進めております。
ちなみにどこぞの某学園長、分からない方いますかね…?
もし居るなら、コメント来次第ですが最後変えます。
ブクマありがとうございます!
感想等頂けると嬉しいです!!




