02
「……なんて、言うと思ったかい?」
「へ?」
「易々と入れてやれるわけないだろう? 関係者以外立ち入り禁止だよ、そこは」
「ぅえ!?」
マジか!?
今めっちゃ入る気満々だったんだけど!!?
ていうか関係者って。
あの人と一緒にいるときは、俺も毎日のように入り浸ってたぞ?
「おやおや、随分と残念そうじゃないか。なんならウチでバイトでもするかい?」
「したい!……あ、ダメだ俺侍女だった」
「じゃあ諦めな」
ハハッと豪快に笑うお姉さん。
うわ、かっけー!
めっちゃ好み!!
ぜひ姐さんと呼ばせてくれ!!
「それにしても、どこでウチの存在を知ったんだい?ウチは世間には大っぴらになっていないハズなんだけどねぇ」
「え、それ聞きます? てか真面目な話として聞いてくれます?」
「おや、そんな突拍子もない話なのかい?」
どうやら、少し興味を持ってもらえたらしい。
体が前のめりになっている。
おっぱいデカいなこの人!!!
いかん、つい目がいってまう…!
くっ……煩悩退散!!
「俺ね、転生者なんですよ。この国の性別反転した世界が俺の世界でゲームになってて、この店もそれで知ったんです」
「……へぇ、興味深いじゃないか」
「え、信じてくれるんですか?」
「まさか。作り話としては面白いが、今の話が本当だと言う証拠はないんだろう?」
「証拠はありますよ」
まぁ、な。
確かに。
俺が聞いても作り話だと思うだろうよ。
けどな。
リスクを犯してこの話をする意味を、考えて欲しい。
なんでこの話を他の誰でもない、しかも初めて会った人にするのか。
それは。
この店の主だから。
それはイコール。
「理の守り人」
「――!」
「貴方は、誰にも知られていない世界の総てを管理している人なんだろ? 奥は全ての書物がまとめられている部屋、なんだよな?」
ラルミネ王国の話だけじゃない。
ゲーム通りなら、あそこは膨大な本の山なんだろう。
どうやってここにまとめて置いておけるのか。
異空間じゃないのか。
そう思ってしまうほどの。
それほどまでに大きいはずの、奥の部屋。
そして。
攻略していたときは読めなかったが、画面に見えていたタイトルは多種多様だった。
だから俺が今探している――医学の本だって、あるかもしれない。
奥の部屋に入る。
そのためには、この人にだけは真実を告げなければいけなかった。
「それはアイツ以外知らないはずだがねぇ。まさか、アイツが喋ったのかい?」
「アイツ? いや誰かも名前も知らねぇし。あ、名前といやぁ俺はマナ・ヒスタリアっつーんだ」
「そういえば自己紹介がまだだったねぇ。私はクロナ・ミルゲルト。ついでにアイツっていうのはクロム・ミルゲルト、私の弟さ」
「クロナ…!?」
クロナだって!?
え、待ってそれギャルゲーでの攻略対象者の名前なんだけど!!?
つぅか俺の知ってるクロナと随分違うんだけど!?
マジで待って!
俺の知ってるクロナはラルミネ学園の司書ですけど!!!!!
ちなみにゲームだと27歳で攻略者最年長だ。
「うん? マナは私の名を知っていたのかい?」
「あ、いや……ゲームにその名は有ったけど、顔も性格も全然違う。俺の知ってるクロナは、無口で本だけが好きで独りぼっちだからな」
「ふぅん、それじゃ私の弟みたいな子だねぇ」
「へぇ、そうなんだ」
「ああ。クロムは本の虫でね、今は学園で司書をしているようだよ」
「………へぇ」
弟の方が司書してんの?
え、てか店主って学園司書の姉?
てこたぁ、ゲーム内のクロナって店主の妹だったん!?
ああ、だからか。
奥の部屋には、クロナが関係者ってか身内だったから入れたんか。
「ああ、無駄話が過ぎたね。とにかく今日は帰りな。アンタをこの部屋に入れていいか、しばらく考えさせとくれ」
「ああ、わかった。また来るよ」
ギシッ
再び音の鳴る階段を降りていく。
話すことがプレッシャーだったのか。
店の扉に着く頃には、全身が重くなっていた。
ピカッ!
お、腕輪が光った!
まさかクロナが候補者なのか!?
神様、カノンの男嫌いを治すよう言ってたのにソッチの道も残しといてくれたんだな!!
「さーて、どうなって……は?」
どうしてそうなった?
なんか俺、腕輪に遊ばれてる気がする。
とりあえずわかったことが一つ。
――――この世界は、俺の理解を越えている。
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名前[クロム・ミルゲルト]
趣味[読書]
好きな食べ物[????]
参照は本体にて ]
会ってないヤツ候補者にすんな!!!!!




