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04



コンコン



え、はやっ!

カノンもう帰ってきたんか!?




俺はベッドから立ち上がり扉へと向かった。





ガチャ




「お嬢様おかえ、り……?」





あれ、また壁?





「……迎えの車が到着した」

「あ、うん。え?」




壁がしゃべった!?




声がした方を見る。



うわデカ!?

てか首いたっ!!




ってかコイツどっかで見たことあんな。




あ、あれだ。

刺された時に来た、偉い騎士だ。





いや、でもそれだけじゃないような…?





「フェリシア家令嬢は?」

「今先生に呼ばれてな、お使い中だ。でもすぐ戻ってくるらしいぞ」

「……そうか」



ん?

なんだ?



こいつの視線、俺を越えてんな。





俺の後ろは――ルミネスに用か?




「なんだ、ルミネスの知り合いだったんか」

「ルミネスだと?」

「ああそうだよ、彼は古くからの友人でね」



ルミネスはそう言いながら、人差し指を口に当てた。



なんだ、キザったらしいな?


よく分からんがイラッとしたから、ルミネスの頭をゴツいといた。





ガチャ!



「さあマナ、帰るわよ!……誰?」

「今日の門番だ」

「ああそう。ならグレイスに車を裏口に停めるよう言っといてくれるかしら」

「なぜ?」

「マナがまた気絶したら困るからよ」

「…………」



うっ…


じーっと見てくる視線が痛い。



ちくしょー、正門に行くだけで気絶するような弱いヤツで悪かったな!!



トラウマなんだよ!

マナの!!!




「ふふっ、俺も後で隊に顔を出すよ」

「それは是非。では失礼します」

「じゃあなロキ!」

「ああ。………なに?」



あれ?

ロキ??



不意に口から出た言葉に周りも、俺も驚いた。




ロキ。

ロキ・ゾルク。



それはギャルゲーに出てくる騎士であり、名も人生も男として育てられた人物であり。



彼女は、攻略対象者の一人だった。




いつもより高い位置に顔があるからよく見えなかったけど、そういえばこいつ男装した時のロキに似てんな。




似てたからつい言っちまったってか俺!!?




「悪い、知り合いに似てたから間違えた! じゃーサイナラ!」

「きゃっ!」

「あ、おい!?」



はっず!

めっちゃ恥ず!!!



こりゃ逃げるが勝ちだ!





俺はカノンの手を引いて走って逃げた。













「――キミ、名前なんだっけ?」

「……ロキ・ゾルクだ」

「だよねぇ」

「おまえこそ、名前なんだよ」

「ルミネスだよ。マナの前でだけね」

「なんで偽名で通せるんだよ、おまえこの国の第一王子だろ」

「それがマナの良いところさ」



クスッ


出ていったマナを想い、ディアスは穏やかな笑みを浮かべた。


その表情に、ロキは驚きを隠せなかった。

ディアスが女性にそんな顔を向けたのは、今まで一度もなかったからだ。



だからといってマナとやらに殴られても平気でいるのはどうかと思う。きっと自分以外がいたら不敬罪で捕まえているところだ。

ロキはその嬉しそうなディアスを見て、思わず頭を抱えた。



「ところでロキさ」

「うん? なんだ?」

「キミでしょ?マナをここに寝かせたのは」

「ああ」

「ふーん、抱っこしたんだ」

「抱っ……運んだだけだ」

「ふーん」



拗ねている。

と自分じゃなくても分かるほどあからさまに拗ねているディアスは本当に珍しい。

できれば深く追及したいところだったが、ロキはそれよりも話さなければいけないことがあることを思い出した。



ロキは、ふぅと小さくため息をついた。



「それより、聞いたぞ」

「――そう」



何を、とは言わない。

お互いの情報が筒抜けなのは昔からなのだから、今さらだ。



昔。

まだ幼い頃からの付き合いだった。



年齢が上であるロキをディアスは兄と慕い、ちょこちょこと付いてくるディアスをロキもまた可愛がっていた。

二人でいるようになってから約一年が経つとキリアスも加わり、それからはいつも三人で一緒に遊んでいた。


キリアスもまた、ロキにとっては弟分だ。



正直、可愛い弟たちの仲違いは見過ごせない。

けれど――王族の話には、加わることは許されない。



「また、元に戻れるといいな」

「――ああ、頑張るよ」





力強く言うディアスのその瞳は、いつもより強く輝いていた。







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