02
ゆらゆら
心地良い振動が身体を包む。
温かい。
…………温かい振動?
「なーんじゃーそりゃー!」
「きゃっ!?」
はっ!
つい夢にツッコんじまった!!
ん? ゆめ?
あれ、俺今寝てたん?
背中にある柔らかい感触。
包まれているのは……布団?
寝起き特有の回らない頭は、今やっと状況を理解した。
むくり、上半身を起こしてみる。
パチリ
眼が合った。
「うぉカノッ、お嬢様!? なんで居んの!?」
「それはこっちの台詞よ! なんでこんなとこにきてまで気絶してんのよ!!?」
「え、気絶? てかここ病院?」
「そうよ、学園併設のね。あーもう、こうなるって分かってたじゃない……リークも止めなさいよね、馬鹿」
ん?
リーク?
リークもついでにグレイスからも止められたけど。
え、なしてリーク?
なして止められるの前提なん??
「なんでリークが、俺が学園に来るのを止めんだよ?」
「……アンタ、そんなことすら忘れたの?」
「へ? 忘れたって、何を?」
「5年前のこと、覚えてる?私たち二人が公園で遊んでいた、あの日の事」
いやー、覚えてねぇな!!!
つーか、そもそも王国に公園があることすら知らんかったわ!
あーちくしょうっ!
知ってたらデートスポットとして活用したのに!!
この世界の奴らときたら、基本金持ちだから金のかかるデートしかしてくんねぇんだもんなー。
たまにはこう、公園なんかでのんびり庶民派デートもいいと思うんだよな!
……主に金銭的な意味で…。
デートの度に所持金が減る仕様……くっ、ゲームでもそこはリアルか…!!
…………いかん、話が逸れた。
とにかく。
公園のこたぁ覚えはねーが、5年前というすでにキーワードになりつつある単語には覚えがある。
「マ、いや俺が刺された時のことか?」
「そう、そうよ。貴方……いえ、覚えていたなら話が早いわ」
ポツリ。
それは憂いを帯びた声色だった。
「貴方は私の代わりに刺され倒れ、命すら危うかった中でなんとか生還した、あの後。貴方は、公園に入れなくなったのよ」
「え、まさか立ち入り禁止?」
「まぁ、それに近いわね。マナが元気になってからその公園に行ったらいきなり倒れたから、私とリークでマナをあの公園に行かせないことにしたのよ」
「マジすか」
前例あったんかい!!
刺された場所に行ったら気絶しました。
今回も刺された場所に行ったら気絶する恐れかあるから、行かせないようにしましょう。
あー、そーね。
そりゃリークにも止められるわな。
無理やり出てきて悪かったかな。
でもリーク忙しそうだったしな。
てか先に言え!!!
「で、わざわざ学園にきて気絶して心配かけさせた理由は何?」
「あ、そうだ忘れてた」
えーと、どこに入れたっけかな~?
ゴソゴソとポケットを探す。
あ、違ったここじゃねぇや。
くそっ、ポケット多すぎだろこの制服!
心の中で悪態を付きながら探すと、何ヵ所目かでようやく見つけた。
よし、ぐしゃぐしゃになってねぇみたいだな。
俺はホッとしながら、綺麗に折り畳まれた状態のプリントをカノンに渡した。
「ほい、プリント。今日中に提出なんだろ?」
「……こんなの、後でどうとでもなるのに…」
「そうなのか?じゃあ逆に迷惑かけちまったな」
「違っ…!マナが倒れてまでする用事じゃ無いってことよ。……プリント、助かるわ」
「! おう!」
照れたお嬢様いただきました~~~!!!
顔真っ赤だよ語尾小さいよ!
やっぱツンデレお嬢様はこうでなくっちゃ!!
コンコン
「こんにちは、今いいかい?」
ん、なんだ?
いきなり鳴るノックの音。
なんだ、医者か?
それにしちゃ入って来ねぇな。
「はーい、どうぞ」
「失礼するよ」
そう言って、中に入って来たのは。
「あ! アンタ何しに……」
「ルミネスじゃん!なに、お前もラルミネ学園の生徒だったのか!?」
「はぁ!? 何いっ……ルミネスってまさか、マナが前いってたヤツ?」
「おう。ルミネス、お前どこにでもいるんだな」
「ふふ、こんにちはマナ。――カノンさんも」
最近よく見かけるルミネス。
いやー、まさかここでも会うとはな。
世間は狭いぜ!!!
あれ、二人って知り合いだったっけ?
明らかな誤字脱字等あれば教えてくれると助かります。




