初めての休暇
「「これください!!」」
「おっ!」
「へ?」
開店早々の屋台を前に、でっかい声がダブった。
「休み?」
「そうよ。マナってば暫く休みとってないでしょ?どうせなら腕の療養を兼ねて3日くらい休めばいいじゃない」
「やったー街探索!ケーキ食い放題!!」
「腕休ませなさいよ」
腕なんか知るか!!
俺は欲望のままに生きる!!!
そもそも腕ぁそこまで酷くねぇしな。
リークにしっかり処置してもらったし、こんくらい平気へいき。
「いざ!ラルミネ王国物語で慣れ親しんだ街へ!!」
で。
車内で見えた方向へと歩き始めてから約40分。
ヨーロッパ風の美しい街並みがデフォルトなこの街は、最初はどこも似たような景色に見えた。
それでも毎日通った見知った場所はやはり思い入れがあるからか、着いた途端すぐにココだと分かった。
ああ、夢にまでみたギャルゲーの世界!
まさかこの道を歩く事が出来るとは!
転生バンザイ!!
ぐぅ。
おっと、そういやそろそろオヤツの時間だな。
腹の虫が小さく主張してくる程度には、腹ぁたしかに減ってんな。
この世界に来てからは料理長のメシしか食ってねぇし、たまにはいろんなモン食いたいよな!
あぁ、想像したら余計腹減ってきた……。
ふわり
ん?
なんだ?
くんくん
俺は鼻に神経を集中させ、良い匂いのする方へと歩を進める。
うん、近い。
少し歩いただけで見えた。
絶対コレだ、この屋台だ。
これはアレだろ。
にく!!!
「「これください!!」」
「おっ!」
「へ?」
めっちゃ声カブった!
え、誰?
って思って顔を見たら、深く被った帽子に覗く……うわぁ、イケメン爆発しろ!!
じゃない。
こいつ、こんな時間から肉食うのかよ?
「お兄さん、今昼メシの時間じゃないぜ?」
「お姉さんこそ。いや、それよりお兄さんって…」
「じゃあ青年?少年でも通りそうだけど」
「そういう問題?ははっ、君面白い人だね」
「何が」
「えぇと……その口調とか?」
なんだそれ。
――ああ、そういや美少女だったな俺。
うーん、口調変えた方がいいか?
「お二人さん、結局買うの?買わないの?」
「あ、買う買う!」
「俺にも一つ。はいこれ、お姉さんの分も」
「へぁ?」
ちゃんと金あるぞ!?
マナって以外と溜め込んでたのな。
なんて思いながら財布を出してたら、先に出してた青年がなぜか俺の分も払いおった。
え、なして?
「俺自分で払うって!」
「やだなぁ、俺が何のイミもなく君の分まで払うわけないでしょ。ね、今ちょっと時間ある?」
「それはもちろん」
「オーケー、着いてきて」
「わっ!」
ちょっ、人さらい!!?
こいつ、制止の声なんぞ聞かんってか?
発する声は右から左、とにかく俺は腕を引っ張られながら青年の後ろを小走りしていた。
肉を片手に持ちながら。
「まあ、座りなよ」
「……ここに?」
「そうだよ」
体感時間、約5分。
おい青年、良いこと教えてやるよ。
目的地も名も告げず、女性を連れ回すんじゃねぇ!!!
歩幅のせいで疲れた俺は、若干あがる息を整えながら指をさされた先を見た。
……これ、噴水?
街から余り離れていない場所に、噴水があるとは思わなかった。
少なくとも、ゲームじゃ見たことなかった。
噴水の前で何時に、みたいに集合場所に使えそうなのに。
何故か人通りがないし。
何故か?
水が、出ていないからだ。
「壊れてんの?」
「そう。もう一年以上前からね」
俺に座るよう声を掛けた青年は、先に噴水の縁に座っていた。
普通はベンチとかじゃないのか?と思いながらも、俺も気にならないため同じくそこに座る。
いただきます。
そういって持ってた肉にかぶりついた。
美味ぇ!!
スパイスのきいた肉の甘辛さと、じゅわっと肉汁が溢れるこの感じ!
少し冷めちまったけど、それでも有り余る美味さだ。
また今度買おう。すぐ食おう。
口から垂れた肉汁を腕で拭うと、隣からブハッと盛大に吹き出した音がした。
な、なにごと!?
「あっははは! 君、本当に面白いね! 俺、こんなワイルドな女性初めて見たよ」
「ガサツで悪かったな。お前も食えば?」
どうせ女っぽくなれねぇよーだ!
若干ふて腐れながら促すと、青年はもう一度笑ってから肉をかじりだした。
「流石、やっぱり美味しいね」
「なー! で、青年の目的は?」
「急かすねぇ。とりあえず俺は青年じゃなくてルミネス、そう呼んでくれる?」
「そうか。俺はマナだ、よろしくな」
「よろしくマナ。ははっ、君はもっと警戒心を持った方がいいよ」
うっせー!
男だったときは警戒心なんざいらんかったんだよ!!
ルミネスに笑われた瞬間。
俺は思わず、コイツの頭にチョップしていた。
展開早いですが、トントン拍子に進めていきます!
もし小説パージョンで書く日が来たら、じっくり書くかもしれませんが笑
感想ブクマ評価よろしくです!




