02
『隠していても仕方ありませんし、教えます。――長くなりますよ』
「手短に頼む」
『だから無理ですって!』
はいはい聞きますよー。
さて、どこから話しましょうか。
そう呟いた神様が、姿が見えないのに畏まった様子で語り始めた。
『私の前に神様だった方がいました。これから先代と呼びますね。先代の引退前は推定一億歳。人間には想定しにくい話ですが、先代はまだまだ働ける年齢でした。
神様とは、世界中のあらゆる秩序を護る方。秩序を護る、それはこのラルミネ王国も同じくその一つでした。因みにこの世界の一部を垣間見た人間が造ったゲーム、それが真人さんのよく知るギャルゲーになった"ラルミネ王国物語"なのです』
「ながっ!!!」
これ序盤だろ!?
話まだ続くんか!?
俺もう飽きた!!!
「あーもー、もっと短く喋れねぇのか?」
『かっ、神の話をそんな雑に…』
「うっせー幼女、神様名乗るなら要約することも覚えやがれ」
『幼女って言うなら優しくしてくださいよぅ!』
そんなん知るか!
俺は好きなように生きる!!
だって俺は神様に選ばれたんだからな!!
……まぁその神様をイヂめているわけだが。
なんせ初めて会った時からこんな態度だからな。
急に変える方がヘンっつーもんさ。
『むぅ…仕方ないですね』
「つーか俺って喋んなくても思考モロバレなのな」
『何を今更』
確かに。
まぁ楽だから良いけど。
俺に隠し事なんてないからな!
どんと来いだ!!!
『じゃあ簡単に言いますね。5年前にカノン・フェリシアが暴漢に襲われたところをマナ・ヒスタリアが庇い、男が隠し持っていたナイフで心臓を刺され死亡しました』
『……へ』
『それは予定に無かった秩序の乱れでした。カノンの精神が、壊れかけていたんです。故にそれは神の不始末、即ち天界における大問題となりました。だから先代はマナを生き返らせるため、他の世界からの転生を考えたのです』
「いや長いから」
そう突っ込む俺の声は、小さい。
なんだって?
マナが――死んでいた?
先代の神様によって……生き返った、のか?
スケールでっけぇ話だな。
「で、乱暴者やら幼いヤツとか捕まえてきたわけか」
『はい。もっと色んな方々も試しましたが、波長が少しだけでも合ったのは彼女たち2人だけでしたね。先代は彼女たちにラルミネ王国の世界観や身近な人たちのプロフィールなど、必要な知識を与えました』
「え、俺貰ってないけど」
『真人さんはギャルゲーですでに知識をお持ちじゃないですか』
「横暴だ!!!」
ここは性別逆転世界なんだから知識っつー知識は持ってねぇわ!!
って、彼女たち?
そうだよな、受け入れ先はマナなわけだし、もともと女性から選んでたんだよな。
なんで俺(元♂)が候補になったん?
『女性だけだとなかなか上手くいかなかったので試しに男性で試みたら、真人さんの波長が凄く馴染んだんです』
「軽いノリだったんか」
『そうなりますね。カノンたちとの相性もよかったので、暫く様子を見てからあの日、真人さんの精神をマナへと運んだんです』
ふーん。
まぁ、だいたいの話はわかった。
俺は単純に転生したんだとばかり思っていたが、そっちサイドは何かと複雑なのな。
「で、マナになった俺は何をすればいいんだ?」
『秩序を荒れる前の世界観へと戻してください』
「……はい?」
え、どゆこと?
それ幼女の仕事じゃね?
神様でも仕事って放棄出来るのか。
…………人間も出来るわけだな。
あのブラック企業め!!!
『放棄じゃありません!カノンには今、私たちの声が届かないのです。ああ、いえ。正確には声と称される事柄は総じて、私たちが働き掛ける動きそのものの事を言います。カノンは、私たちの行動を全て拒んでいるのです。先代もそれがきっかけで力を失っていき、結果、私が神となったのです』
「なんだ、じゃあ俺に尻拭いしろってか」
『うぐっ……身も蓋もないですが、話が早いですね』
要するにカノンをどうにかしろってことだろ?
ん?
どうにか?
え、カノンあのままじゃダメなん?
ツンデレお嬢様なんて最高でしかないわ!!
『駄目です。カノンは女性ではなく男性と結ばれるべきなのです』
「えっ、神様ってそういうの気にしないんじゃないの!?」
『普段ならそうなんですが、ラルミネ王国は真人さんいわくギャルゲーの世界なので。男性と将来を誓いあってくれないと、王国に未来はないのです』
た、たかだか一人の女の子がそんな重い使命を持ってるとは……!!
ん?まてよ?
王国にってことは、カノンの婿第一候補はやっぱ第一王子だったん?
『それは真人さんの知るギャルゲーのように、カノンの好きになった相手で構いません』
いきなりアバウトだな!!?
中途半端ですみません。




