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でか兎

 ……まあ、とりあえず死んだのならそれはそれで問題ない。というか、マジで助かった!


「うーん、原因はやっぱりこいつだよなぁ」


 思い当たるのは、根本から折れてでか兎に刺さっている錆びたナイフ。

 錆びているだけに傷口から毒が入ってでか兎を殺したとか? だが、こんな短時間で体全体に毒が回るものなのか?

 もしくは、実はこのナイフがもの凄い武器で、その効果がでか兎を殺したかだ。


「……まあ、考えても分からないものは仕方ないか。とりあえず、助かったー!」


 俺はその場に倒れ込むと、差し込む陽光に目を細目ながら空を見上げた。

 生き残れたから言えることだが、本当に異世界にやって来たんだなぁ。


 ──ぐううううぅぅ。


「……は、腹はどんな時でも減るもんだからな!」


 体を起こした俺は周囲に目を向ける。

 食べられそうなものは……見た限り、何もない。

 果物もないし、野草もない。というか、見分けられない。

 湖に戻れば魚くらいいるだろうか。

 ……いや、確実に腹を満たすなら確実なものが目の前に転がってはいるんだよなぁ。


「……でか兎って、食べられるのかなぁ」


 そう、このでか兎だ。

 動物なら可能性は高いだろうけど、これは魔族かもしれない。

 魔族……食べて、大丈夫だよな?


 ──ぐううううぅぅ。


「…………は、腹が減ってはなんとやらだ!」


 このままでは空腹で動けなくなってしまうのだから、仕方ないだろう!

 これも全てあの駄女神のせいだからな、これで死んだら一発と言わずに二発はぶん殴ってやる!


 でかいとは言っても日本の兎よりも一回りほどだ。

 俺は耳を掴んで持ち上げると、そのまま目印を頼りに湖まで戻ってきた。


「しまった! ……これ、どうやって捌けばいいんだ? というか、捌く道具もないんだけど」


 ま、まさか、丸焼きしかできない? いやいや、火種だってないわけだから……まさか、生?


「無理無理無理無理! マジで無理だから!」


 食あたりとか、そういうレベルの問題じゃなくなるから! さすがに魔族の生肉をいきなり食べるとか、あり得ないから!


「……ん? レベル?」


 すっかり忘れていたが、俺は偶然ではあるけどでか兎を倒すことができた。

 あれだけの強敵である、レベルが上がっている可能性もあるはずだ。


「ス、ステータス!」


 やっぱり、ステータスと口にしたらさっきのディスプレイみたいなのが出てきたよ。


「えーっと、何々……おぉ! レベルが2に上がってるよ!」


 よっしゃー! とりあえずレベルアップ!

 欲を言えばあれだけの強敵だ、もっと上がってくれてもよかったけど背に腹は代えられないからな。

 とりあえず能力を確認してっと……あー、うん、魔力は9に上がったけど、これいつになったら魔法が使えるようになるんだよ! 魔法だけじゃなくて能力も賢者に合わせてほしかったよ!


「魔力以外は……力、3かよ」


 マジで落ち込むわー。他の能力も軒並み低いし、上がり幅も少な過ぎだろー。

 特に速さと耐久! レベルが上がってようやく2はひどすぎるだろう!


「はああああぁぁ、なんでこんなことに……ん? この数値だけやけに高いけど……」


 あー、うん、全てに納得がいきました。

 そして、こうなった元凶が誰なのかも。


「……あんの駄女神、てめえの容姿選択のせいじゃねえかよこれ! 魅力257ってなんだよ! 絶対に他に割り振れる分が魅力にいってるよねこれ!」


 何がかわいくてプリティだよ! 確かにその通りだけど、世界を助けてほしいなら魅力よりも大事な能力があるからね!


「……あー、もういいや。魔法はどうなって──ん? なんだこりゃ?」


 弱い魔法でも覚えてくれたら儲けものと思いながら魔法欄を開いたのだが、そこには先ほどまで出てきてなかった項目が追加されている。


「スキル、振り分け?」


 ……あれか、スキルポイントを貯めたら新しいスキルが手に入りますよ的なあれか。

 だったら新しく魔法を、それも魔力9で使える魔法を手に入れたいぞ!


「スキルは……おいおい、これって、まさか!」


 ま、魔法は、スキルポイントで手に入らないのかよ! だったら魔法はどうやったら手に入るんだよ!

 もしかして、レベルアップに合わせて手に入るとか? もしくは専用のアイテムを使って覚えるとか?

 ……って、今はそんなことを言っている場合じゃないか。


「仕方ない、スキルで今すぐ役に立ちそうなものを手に入れるか」


 ないものをねだっても仕方がない。今あるものでやりくりしないとな。

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