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ギルドカードと昇級と

 ギルマスとのやり取りを終えて部屋を出るとすぐにマリンさんから声を掛けられた。


「ちょっと! 試験もなしに冒険者になるだなんて前代未聞なんですけど!」

「……なんで知ってるんですか?」

「ギルマスから魔法通信が入ったのよ! 全く、いきなりギルドカードを準備しろって言うんだから驚きですよー」

「……魔法通信?」


 なんだか聞き慣れない響きである。元の世界で言うところの電話みたいなものだろうか。


「それって、離れたところにいる人へ連絡できる手段ですか?」

「そりゃそうよ、魔法通信だもの」

「……それってスキルですか?」

「そうそう、スキルよ」


 ……この世界、スキルを極めることができたら最強になれるんじゃないだろうか。

 しかし、スキルということは俺も習得できる可能性が高い。

 習得できるスキル一覧には載ってなかったから、何かのスキルから発展して現れるかもしれないな。


「それはそうと――はい、これ!」

「これは?」

「さっきも言いましたよー! これが冒険者を証明するギルドカードです!」

「おぉっ、これが! ……って、茶色い金属ってことは、アースレイロッグ?」

「んなアホな! 新人のギルドカードにそんな高級品を使うわけないじゃないですかー!」

「あー、そっか、そうだよな、あははー」


 実は大量に持っているんです、とは言えずに空笑いをするにとどめた。

 そういえば、リリアーナがこれを売れば三ヶ月は遊んで暮らせると言っていたけど、どこで売ればいいんだろうか。

 ……うん、どうやらマリンさんに聞いてはいけないようだ。リリアーナがものすごい勢いで首を横に振っているんだもの。


「ギルドカードも冒険者の等級によって材質を変えて支給します。新人には銅プレート。下級には銀、中級には金、そして上級にはアースレイロッグが使われます!」

「へぇー、上級がアースレイロッグなのか」

「ですから、リリアーナさんのギルドカードはアースレイロッグで作られているんですよー!」

「それはそうと、その等級を上げるにはどうしたらいいんですか?」


 正直なところ、ギルドカードの材質なんてどうでもいい。身分証明になればなんでもいいのだ。

 それよりも、しっかりと自分で稼ぐためには等級を上げて実入りの良い依頼をこなせるようにならなければならないのだから、そちらの方が重要である。


「……はい、それじゃあ説明しますねー」

「……い、いきなりやる気がなくなってませんか?」

「そんなことないですよー。別にー? 私が元気よく説明したことをどうでもいいみたいに言われたから拗ねているとかそんなんじゃないですしー?」


 いや、絶対に拗ねてるでしょうよ!


「えっと、ギルドカードの素材で等級が分かるだなんて、考えられてますねー! ぱっと見だと実力が分からない人もいますけど、ギルドカードを見れば一目瞭然だー!」

「……そう、そうなんですよ! 数年前までは一律で銀プレートだったんですが、いちいちギルドカードを確認して、等級を見て、それで依頼を受けれる受けれない判断をしていたので面倒だったんですよー!」

「そ、そうなのか、凄い進歩だなー!」

「そうなんです! ですから、どうでもいいものじゃないんですからねー!」

「ありがたく頂戴しますー!」


 ……な、何なんだよ、このやり取りは!

 そしてリリアーナも冷たい視線を向けるだけじゃなくてマリンさんを止めてくれよな!


「それじゃあ、次の話ですけどー……等級の上げ方でしたっけ?」

「そ、そうです」

「新人から下級には比較的簡単に上がることができます。それは、素材を一定数納品することですねー」

「……えっ、それだけ?」

「はい、それだけですー。ですが、素材と言っても何でもいいわけではないですよー。良質な動物の素材だったり、魔獣の素材だったりが評価基準となりますー」

「……魔獣? 魔族じゃなくて?」


 俺が倒したのはエルフの森ででかくなっていた動物だったり、鑑定で魔族と出たゲジュランダとオルトロスの二匹。

 魔獣という存在がいるのなら、オルトロスあたりは魔獣と出てもおかしくないと思うんだけどなぁ。


「魔族って、そんな素材があったら下級どころか、中級に上がってしまいますよー!」

「……そうなのか?」

「そうですよー。魔族というのは魔獣の上位種であり、出会ってしまったら死を覚悟するくらいの化物なんですよ?」

「……えっと、そうなのか、リリアーナ?」

「そうよ。だけど、アマカワは今のところ気にしないようにね。絶対に、気にしないでね?」

「……は、はーい、気をつけまーす」


 これは絶対に魔族の素材を出すわけにはいかないな。そんなことをしたらマリンさんに疑われてしまう。

 ただでさえ試験免除で冒険者になってしまったのだ、これ以上目立つ行動は慎むべきだろう。


「下級から中級、さらには上級に上がるにはちゃんとした手順もありますから、それは下級に上がった時にでも説明しますねー」

「……よ、よろしくお願いします」

「それじゃあ、後はリリアーナさんに聞いてくださーい。私は仕事に戻りますのでー!」


 ……これは、魔獣や魔族のことについて詳しく教えてもらう必要がありそうだな。

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