強者を求めて
自分の全てをかけていた戦いが終わったその日から既に2日が経った。俺はベットで1人途方に暮れていた。この剣道という殺し合いの競技において俺より強い人間はもう居ないのだ。恐らく、日本だけではなく世界にも。
「俺はもう強くなれないのかな...。」
独り言を呟く。ふと、ベットの下にある新聞に手を伸ばしてみる。
『決勝でも圧倒的強さ魅せる。最強剣士、ここに誕生。』
そのつまらない見出しに軽く失望する。彼らは俺、成瀬雅人という人物を見ていない。剣道全日本一の高校生という称号を見ているのだ。
「この人は確か。社会人全一...」
記事の中身も一応見てみる。
『「彼の剣道を見てどう思いますか?」と、問いかけてみると、海堂は
「正直絶対にかなわないですね。見栄も貼れません。」との苦笑。海堂がそう言う程に彼は強いのだ。』
「はァ.......」
全くもって嬉しくないコメントである。自分より強い相手がいないことを証明されたようなものだ。相手がいない今、どうしたらもっと強くなれるのだろうか...。新聞を放り投げて横を見る。目に入ってきたのはそれだった。
『戦国時代、狂乱の幕開け。』
マンガで戦国時代を再現しているという中学生の頃に読んだ本だった。
「俺もこの時代に生まれていればなぁ...。」
そんな取り留めのないくだらない戯言を言った時だった。
『汝、タイムスリップを望むか。』
ついに頭がおかしくなったのか?妙な声が聞こえた。それに対して俺は、
「あぁ。俺を戦国時代へ連れて行ってくれ。俺よりゴロゴロ強い剣士がいる所へ。」
と、ここまで言って気づく。今、俺は誰と.....
『宜しい。心いくまで楽しむがいい、あの地獄を。』
「!?」
その瞬間、俺の意識は途絶えた。
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