表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辻裏の少年  作者: 篁頼征
6/28

夜の帳の裏側で

「あ、ねえちゃん、迷子になってやがる」

 少し楽しげな響きがあった。

「どうしたんだい」

 楽しそうな様子なら特に大きな問題は起こらないのだろうと、母はおっとりと息子に訊ねてみる。

「ねえちゃんが迷子になって困ってる。同じところぐるぐる回ってんだけど、気付いてないみたいだ。助けに行くべきかなぁ?」

 無言で頭を小突いたのは、少年の声に面白がる気配が漂っているからだ。普段女性には優しい子なのに、時折困っている女性を見ては楽しそうな顔を浮かべる様を見て、育て方を間違えたのかと真剣に悩むことがある。

「いや、だって、あの兄ちゃんが近くを歩いてるんだよ。それなら、俺の出番なんざねーよ。寧ろ邪魔にされちまうもん」

 禍福は糾える縄のごとし、とは言うが、本当の縁というものはそうしたものなのかもしれない、と母はこっそり思ったのだった。自分のこと()は棚にさくっと持ち上げて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お話の表側は→蒼天の月 * 用語・語彙は→用語・語彙解説
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ