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イヴ  作者: 甚八
はじまり
4/5

道を歩く。歩く。歩く。

町や村が現れる気配も無く。田や畑があるでも無く。道の両脇には草か木が茂るばかり。

道無き道を行くよりは、何かに出会えると言う希望が持てるだけ気持ちは楽だけども、こうも歩き通しでは身体的に参ってしまう。

少し休憩をしようか、もうずっと歩き通しだ。

少し行った所に森が見える。少し入った所の木陰で休むことにしよう。

森の中は一歩踏み込むと空気がひんやりとして少し湿っていた。

適当な場所に腰を下ろすと強い疲労感が身体中から湧いてきた。糸の切れた人形のように四肢を放り出して眠ってしまいたい程の疲れ。

精神的にもかなり消耗している。気持ちの疲れが身体にも出ているのだろう。一眠りしたい気分だが、ここも安全かどうかはわからない。

大型の動物が出るようには思えないが野盗のようなものが出ないとは言い切れない。

そもそも何も持ってはいないので強盗の心配は無いが、私も一応は女の子な訳で、襲われるだけのものは持っていると思う。

しかしなんだか、手足がじんと痺れるような脱力感があって、暫くは歩けそうもない。

いっそ、一か八か眠ってしまうのもありかもしれない。

しかしもし日が暮れたらそれこそ大変なのでは、とも思う。火すら無いのだから当然明かりが無い。気温も下がるだろう。

なんだか今日一日を乗り越える事すら絶望的に思えてくる。もし今日をやり過ごしても水が無いのだから明日か明後日には干からびてしまう。水があったとしても生水は飲めない。いざとなったら飲むしか無いが、当たれば体力も水分も奪われる事になる。

死ぬのかな、とここで初めて思った。

なんだかずっと緑ばかりののどかな景色だったので現実感が薄かったが、そうだ今は私自身の生き死にがかかっている。

見も知らない土地で行き倒れになろうとは、昔の私もきっと想像しなかったに違いない。

ここで諦めてしまえばいくらか楽になるのだろうか。いや、それでも渇きや空腹は辛いはずだし、死ぬのは怖いのだろう。飢えて死ぬのは嫌だなと思った。

ここまで人家を探して歩いたけれど、計画を変更しても良いかもしれない。

この森の中で食べられるものを探す事にした。

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