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魔法少女と優しくて残酷な世界  作者: オカノヒカル
第三章【非日常と邪悪と猫】
6/63

「ごめんなさい。わたし、やっぱり魔法使いになれなくていいです」

挿絵(By みてみん)

□叉鏡ありすの非日常 A2-1



 それは毛並みのフサフサした黒いネコ耳の付いたカチューシャだった。

 たしか数年前にどこかのテーマパークで買ったことを思い出す。

「えー? なんで、よりにもよってコレなのよ!」

 わたしが不満なのは、ラビからそれを装着しろとの指示を受けたからだ。そんなものを日常的に装着できるわけがない。

 わたしだって羞恥心くらいは持ち合わせている。

「しょうがないじゃろ。それが一番魔力を込めやすいのだから」

 鏡に映った自分の姿を見て、頬が熱くなっていくのを感じる。これじゃまるで罰ゲームだ。

「これって絶対につけないとだめなの?」

「魔力が安定するまでじゃ。汝の魔法が暴走したらとんでもないことになる。それに、これは敵の姿を認識するのに役立つのじゃ」

「だって、これで街を歩いたら頭のおかしい人だよ。とってもマニアックな人だよ。その手の店にスカウトされちゃうよ! その手のお兄さんにストーカーされちゃうよ!」

 鏡を見ていて空しくなってきたわたしは、目を閉じて元凶であるカチューシャを外す。 このカチューシャは大昔、仲良しの友達とテーマパークへ遊びに行った時に買ったもの。

 当時ならまだしも、日常でこれを付ける勇気はない。

 それをラビが「これは魔力の制御に丁度良い」とマジックアイテムへ変えてしまったのだ。

 さらに「魔法を使いたいのならこれを着けるべし」と鬼畜なことを言い放つ。

「ごめんなさい。わたし、やっぱり魔法使いになれなくていいです」

「今更何を云う。汝に選択肢などないのだ。事態は緊急を要するのだぞ」

 だがラビは容赦なかった。一度は望んだ魔法使いだが、自分が考えていた魔法とはまったく違っていたのだ。できるならクーリングオフを適用したいくらいだと、密かに思う。

「ええーん。動けないぬいぐるみの癖に、言うことだけは偉そうだ」

 わたしは涙目になりながら地団駄を踏む。

 その時、頭上を風が通り過ぎる。それはとても奇妙な事であった。部屋の窓は閉め切ってある。扇風機もエアコンも稼働してはいない。

 なんだか胸騒ぎがする。

「いかん! 我の居場所を気付かれたか!」

「え? 何?」

(よこしま)なるモノだ」


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