事の発端 2
古本屋で、本を探していた。
壁一面、天井まで、本が本棚に詰め込まれ、詰め込まれない物は床にうず高く積まれていて、人が一人、通るのがやっとだった。
奥にはレジがあり人が座っていた、新聞を広げ、時おり新聞のページをめくるため、一旦カウンターの上に新聞を広げ、次のページをめくり再び新聞を持ち上げ、眼の前に広げ、再び読みだした。
今時ではあるが、壁に掛けている時計が、針の進む時間の音を刻んでいた。
視界の隅にそれを見つつ、本棚にある本を手に取り、広げると、本の間に挟んであったであろう、栞が、厳密に言うと、栞として使っていたであろう、革でできた、何か。
文字の書いている、物が。ひらりと落ちてきた。
床に落ちた、それを拾い裏表を交互に見て、これで何回目だろうか。この栞を見た後、あの夢を見る。
それは、何らかの革でできている、薄い革紙の様な、何かしら、文字の様なものが墨、インク、素材は判別できないもので書かれていた。
それをしばらく見ていると。
やっと、貴女を憑かまえた。といって、私の真後ろから、急に声を掛けるものがあった。
一瞬で背中に冷や汗が噴き出す程ゾクリと、感覚が走り、振り返ると、長い髪に、その目と呼ばれるものが、そうであるならば、その眼球は黒い空間でできた穴。
と、しか言えないものがこちらをジッと見ていた。
私の学校の制服を着たそいつは、やっと取り殺すことが、憑き殺すことができた。繰り返していた。
そういいながら、私は2・3歩後ずさりし、踵を返し走り出そうとした瞬間。
これまで感じたことのない衝撃を背中に受け、そのまま前に突っ伏すように、まるで、スライディングするように倒れた。
後ろから押されたのだ、なぜ?と言う疑問と恐怖で、思考が混濁しながら、正面に床が迫ってきた。
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