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異世界と言う幽世はこちらですか。  作者: 吉高 都司


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旅立ち、再度。

【目覚め】

 お兄さま!

 そう言いながら羅刹と学生服の、いや学生服を剝がされて、真っ裸の男女が寝所の上で今まさに、と言ったところに、ハープの少女が壁をぶち破って入って来た。

 壁を、三匹のヤタガラスが粉々に砕きながら、壁と言わず床、天井、寝所の部屋そのものを破壊したと言っていい。


 貴様!邪魔するか!

 羅刹は生まれたままの姿に寝所のシーツを素早く剥ぎ取り体に巻き、向かって来るハープの少女と対峙した。


 お兄さまに何をした!

 血を吐くように、叫びながらハープに矢を番え、羅刹に向かい乱打した。


 無駄だと言うのが分からんのか!

 片手で、向かって来る矢を軽々と弾きながら嘲笑しながら言った。


 当てるために放ったわけじゃない!

 ハープの少女はニヤリと笑いながら言った。


 何?

 羅刹の周りに、糸、否、糸より細い光そのものが纏わりついていた。


 それはハープの糸にも使う、月光の光と、日食の光を編んだ神でも切ることが出来ない糸よ!矢に結わえたそれが貴様を搦め取ってくれるわ!


 その言葉通り、搦められた羅刹はほぼ動きを制御されてしまっていた。


 お兄さま!

 ハープの少女は寝台に駆け寄り、真っ裸の学生服の傍に駆け寄って行った。



【十手持ち一行の事】


 大丈夫かい。

 十手持ちは水牛に声を掛けた、人を三人も乗せて峠を越えやっとお城の入り口までやって来た。

 城下町はほとんど、破壊と略奪で悲惨な状態になっていた、幸いにも血の惨劇の場面に出くわさなかった。

 大抵は、これだけの略奪には凄惨な場面が付き物だが、今回は獲物は分かりやすく、婚礼の祝儀を領地各地からまとめて保管しているから、そこさえ狙えばよかったのだろう。


 城を見上げると、天守閣に黒い塊が突っ込んでいくのが見て取れた、轟音と共に破片がバラバラと落ちてきたので、水牛に悪いが尻を蹴飛ばし、その場所から退避させた。


 見上げてみると、黒い物体が、いや、あれはヤタガラス、あのハープを持った少女の一団か。

 十手持ちが、そこから視線を移すと大八車を引いている一角獣とその荷台に乗っている鞭使いの女がやって来た。



 ハーピー鳥女に抱えられた王子と、獣人。


 そして龍に乗った、眼帯と王女。


 それぞれが、ここ城の真下に集った。




【決戦】


 お兄さま!駆け寄ったハープの少女はその姿を見て自身の血が逆流するのが分かった。

 貴様!お兄さまに何をした!


 勝ち誇ったように羅刹は言った。

 初物はいいねえ、力が沸き上がって来るよ!それに、先の戦で亡くなった旦那に似ていたから、とっても良かったよ!これで、子も出来るし、精も貰ったからあと百年は永らえそうだよ!


 と、言うセリフを聞くと同時に、

 ヤタガラス三人は

 いけませんお嬢様、そのお姿は、お兄さまが発動してしまいます。

 というセリフは轟音と共に掻き消された。


 ハープの少女は、その姿を轟音と共に皮膚が裂け、腕、頭、体、足、角が生え、鱗が飛び出し、獣の姿に代わり合わせてその体の大きさも天守の天井を破り、その姿を異形の者となった。

 寝台に寝ていた真っ裸の学生服は、カッと目を見開き、ハープの少女と同じ様に異形の者と化し同じ様に天守を突き破るほどの巨大な、そう巨大な神そのものになっていった。


 その足元に位置していた、羅刹は、一連のそれを見て恐怖に慄いていた。

 この姿は、そう、あの最終戦争の特異点に居たそれ、そのものだったから。


【終焉】

 城の真下に居たそれぞれは、二体の神を拝みつつ、ここにいては危ないと言うことで、折角到着して早々にその場から退避する事になった。

 行き掛かり上、水牛と十手持ち、大八車と一角獣、眼帯と王女の乗った龍、獣人と鳥女一行と王子。

 それぞれが、三々五々に安全と思われる場所に散らばっていった。


 振り返ってみると、城はみるみる崩れて行きその原型が分からないようになっていた。

 羅刹や、ヤタガラスがどうなったか分からなかった。

 光の帯が辺りを、焼き払っていた。

 二体の神が体中からそれが放射されている。

 轟音と共に、帯が大地を薙ぎ払って行った。


 一同は遠く離れた安全な所からそれを眺めていた。



 それぞれの、一行は思うところがあるようで、こうなる前に何か手立てがあったのではと思い巡らせていた。


 それぞれの思いを邪魔していたもの。

 それを今では考えるのは遅すぎたのかもしれない。


 それぞれは、未だ二体が暴れているところを、後にする事にした。


 大八車と鞭使いの少女は、獣人達に途中まで送ってもらうことにした、もしよければ、と前置きをして、この後この世界はまた混沌と混乱の世界に戻ってしまう、獣人さん達の武の力を我らの村に貸していただけないだろうか。

 当然、衣食住や賃金は保証する、田や畑も入用だったら貸すことも可能ですと。

 要は、この後の世界を見越し用心棒として獣人達を村民として迎え入れるつもりだろう。この話は別の話になるので、またいつか綴られると思う。


 眼帯と御姫様は腰元の背に乗り、高く舞い上がりそして北の方に頭を向け音もなく小さくなった。王子は、それを見て愕然とし膝を付いたまま身動き一つしなかった。

 それを見ていた鳥女は顔を見合わせ、近づき言った。お前さん、自分の惚れた女、盗られて泣き寝入りかい、男なら奪い返す位の気概はねえのかい。

 と発破をかけた。

 王子は泣きながら、僕には何もない。

 力も、そして今回僕の国は無茶苦茶になってしまった。

 手伝ってやろうか?

 鳥女姉妹は提案した。

 えっ!

 王子は驚いた顔を二人に見せた。


 ニヤニヤしながら鳥女姉妹は舌なめずりしながら言った。

 お前さんよく見ると、いい男だね、ちょっと華奢だけど。

 でもまあ、あの眼帯女の所に辿り着く頃には、仕上がっているだろうよ。

 で、ものは相談だ、その時お前さんの初物を、わっちらにいただければ、チャラにしてやるよ。

 わっちらも、もうそろそろ、丈夫な雛をたくさん産みたいからねえ。

 その事が何を意味しているのか分かった途端、顔を真っ赤になった。


 暫く考えた王子は決意、決心をした顔つきになり。

 お願いします、と頭を下げた。


 鳥女姉妹は獣人に向かって言った。

 親分、わっちら暫くこいつと行動を共にして、話が付いたら丈夫な雛と一緒に帰ってこようと思ってんだ。いいだろう!

 それを聞いた獣人は手を振り、オウ言って来い、丈夫な雛待ってるぜ!

 と、送り出した。


 鳥女姉妹の背に乗り王子は、数人の残った家臣を残し大空に舞い、眼帯女と御姫様の後を追った。

 この話も別の話になるので、続きはまた別の機会に。


 ただ、水牛と、十手持ち一行だけは、羅刹女がどうなったかも気になるし、元学生服の成り行きを見届けることにした。


 ハープの少女の口ぶりではこれは一過性のもの、と言うニュアンスだったからもう少し待ってみることにした。


 まだ、旅は始まったばかりだったから。


(続く)


お時間いただきまして、目を通していただきま有難うございます。こういう終わり方が良いのか分かりませんが一応一区切りと言うことで(続く)とさせていただいております。お時間頂戴いたしました、ありがとうございました。


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