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プロローグ

 カヌーン魔導王国は法律の多い国として有名である。王侯貴族は『王国特殊法』によって、その身分と地位に相応しくあるべく様々な制約が課される。尤もこの制約は『高貴なる務め(ノブレスオブリージュ)』を正しく理解し実行し、他者に対して誠実さをもって接していれば何の問題にもならないものである。

 また、王国特殊法によって、国民は王侯貴族の横暴から守られている。身分を笠に着た横暴や搾取は特殊法監督局に通報すれば直ぐに対処してもらえるのだ。だから、カヌーン魔導王国は庶民には暮らしやすい国ともいわれている。

 その法律のおかげで、他国で問題になる真実の愛という名の不貞だとか、それによる婚約破棄茶番だとか白い結婚詐欺だとか、入り婿による婚家乗っ取り未遂とか継母による真の後継者苛めだとか、理不尽な兄弟姉妹間格差だとか、そういったナーロッパあるあるな事象は大問題に発展する前に速やかに処理されているのである。

 そんなカヌーン魔導王国の王家、カヌーン王家は殆ど知られていないが試験の多い王家である。試練ではない。試験である。ペーパーテストである。

 歴代国王及び大公はこの試験をクリアしてきた強者たちだ。或いはこの試験の出題者である正義と裁きの神アダーラ(法と秩序も司る)、結婚と出産の神ウィラーダ、契約の神タアーコド、駆け引きと詐欺の神タージェル(本来は商業神)、真実と虚偽の神イクテヤールによって、試験を受けるまでもなく問題ない人物と認定された者だ。

 そして、試験に不合格となれば、様々な未来が待っている。共通しているのは王族でも貴族でもなくなるということだろう。試験によっては合格するまで何度でも受験可なものもあれば、一発アウトなものもある。

 カヌーン王家は王国特殊法に縛られるだけではなく、王家に相応しくあるために、試験という目に見える形で淘汰されているのだった。


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