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脱走兵、義賊になる  作者: 伊村 紺
プロローグ
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4

3ページ目にも記載しましたが、念の為子爵令嬢の名前を検索したところ検索結果がほぼ版権キャラだったため、より一般的な名前にしました。

アイダは軍人であることを自負している。

小さくは訓練の一対一の模擬戦から、果ては戦における大軍の動かし方まで、軍人は判断と決断を繰り返す。そしてそれらは正確性もさることながら、早ければ早いほど良い。


つまり、リリーから話を聞かされた日から一夜明ける頃には、アイダは王国行きを決意していた。

ただし、準備が必要である。


何よりも最初に、名を変えた。

リリーと話した日の翌日、アイダは非番だったが、リリーと軍団長に面会を求めた。2人は承諾し、夕方頃にリリーの執務室で話をすることになった。

アイダが王国に行く旨を告げると、リリーは口を開く。


「そう、わかったわ」

「子爵家には大変お世話になりました。このような形で出ることになるとは思いもよらず、申し訳なく思います」

「こればかりはあなたを巻き込むと悪化しかねないから仕方ないわ。ねえ叔父様」

「うむ。アイダは子爵軍、ひいては子爵家によく尽くしてくれた。心から礼を言う」

「ありがたく存じます」

「アイダが王国に出る道はこちらで手引きする。王国との国境にある検問のうちのひとつに知り合いがいてな。先触れを出しておけば便宜を図ってくれるだろう。アイダは名前を変えることになるから、名を決めたら旅人組合に登録しておきなさい」


この世界には定住せず、仕事も定まっておらず、ただただ国を越えて旅をする者が僅かながらいる。旅人組合はそういった者たちの身分を保証する国を跨いだ機関である。また、仕事や旅行等で遠出をする者の諸々の手配も行っている。


「その事なのですが、名まで変える必要はあるのでしょうか」

「属国民が軍にいたことがバレて足取りを追われんよう、念の為、な。本腰入れて捜索されれば特定されるかもしれんが、アイダの外見は特徴的でもないから、名を変えるだけでも十分だろう」

「……承知しました」

「王国の言葉は話せますの?」


帝国と王国は言語体系が若干異なるが、単語単位では似ているものが多い。アイダは王国の言葉を読むこと、聞くことは出来たが、話すことは慣れなかった。


「聞き取りはできますが、話すまでは難しいです」

「なら、私の先生を紹介しますわ。少しは話せるようになりなさい」

「承知しました」

「アイダは、子爵家に準備してほしいものはあるかしら」


アイダは少々逡巡した後、


「……では、私に名を頂きたく」

「あらまあ」

「これは、中々難しい準備物だな」

「そうね、アイダのこれからについて回るものだから、この場で決めるのは難しいそうね。少々時間をちょうだい。決まったら叔父様から伝えるわ」

「ありがたく存じます」


こうして、この場は解散となった。


王国の言語を学びつつ、待つこと3日程、軍団長から、


「リリー嬢からだ」


と、手紙を渡された。


「念の為、帰ってから封を開けろよ」


とのことだったので、アイダは帰宅後、手紙を開封した。


その後、旅人組合で身分証明書を発行し、王国語を学び、荷造りすること1週間、アイダは旅立った。


アイダは名を「ナディア」に変え、これから生きていくことになる。

子爵家は今後出てこない気がするので設定を少々


・リリー

17歳。一人娘。

本来なら帝都にある学園に通う年齢だが、8歳で母を亡くしてから子爵家の業務の一部を担っているため、学園に通わず家庭教師から教えを受けている。

婚約者はいない。それどころではなかった。年齢的にも今から条件の合う婚約者を探すのが難しいため、将来は爵位返上かと考えていた。


・軍団長

40代くらい。子爵の弟。

アイダを引き取ることになったきっかけとなった奇襲作戦は、村を焼き討ちすることを聞かされておらず、直前になって察知したものの子爵家の権力では止めることができなかった。アイダにはこのことは話していない。そうした負い目から、幼い頃の情緒不安定だったアイダに我慢強く接していた。

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