かえりみち
夏祭りの終わりは、いつも切ない気持ちになる。
誰と来るでもない祭りに毎年来てしまうのは何かを期待しているのか、惰性なのか。
結局口をつけていないりんご飴を持ち、静かな通りをじっと眺めてみる。
「汚ねぇな。ポイ捨て禁止だろ普通」
翌日ボランティア活動やらで回収されそうなゴミが散乱している通り。
誰かと歩いた事があるような妙な感慨を覚える。
そういえば、何でりんご飴なんて買ったのだろう。
「かえろう」
改めて通りを歩き始める。
家とは逆方向に。
祭りの終わった、人のいない道を。