社内情報3
9時ちょうど。業務が開始される。今のところ新しい変化はない。
10時前、新人が質問に来る。どうやら担当している業務でトラブルが起こってしまったようだ。OJTで担当している者が今日は休みなので、私のところに来たらしい。
いつもうまくやっているように見えたが、今回は完全にポカしてしまったらしい。半泣き状態だったので、気持ちを落ち着けつつ、各関係者との調整に動いた。
10時半、いつもコーヒーを飲んでいる同僚が今日はスポーツドリンクを飲んでいる。あれ、いつもと違いますね、なんて話しかけられていた。本人は気分転換らしいが、珍しいこともあり、ちょっと目立っていた。
お昼前。上長はお得意様のところに出かけて行った。ここ数日の様子を見るに、うまい具合にいっている案件らしい。おそらく問題は起きないだろう。
メモしていたものを少し整理しつつ書き加えてみた。
取り立ててニュースにするほどのことはない。しかし、実際記事になっているのはこのくらい何気ないことである。
こんなことをひとつの記事にしてしまうのだから、ある意味才能がある。こんな些細なことはメモするだけで精一杯だ。どんな頭の中身をしているのだろう。
そうは思うが、不利益を被っている人がいるのだから、才能を褒め称えるだけではいけない。誰が何のためにやっているのか。本人に注意して済めばいいが、場合によっては警察に相談だ。そのためには証拠が必要となる。
出来事をメモするのも楽じゃない。慣れていない私には骨が折れる。正直厄介な仕事だ。しかも賃金も発生しない。
しかし人が不利益を被るのは阻止したい。その気持ちで少しずつ練習を重ねるしかない。
「先輩、今日少し疲れているように見えます」
「そうか?」
「はい、心配です」
余計なことをやっているからだ。だが何をしているかなど言う必要はない。不必要に不安を煽るのも良くない。
「急ぎの案件は片づけたし、疲れているように見えるなら、今日は定時退社するかなあ」
「そうしてください。私にできることがあれば、言ってくださいね」
「ありがとう」
良い後輩を持ったものだ。しかし、あの記事の作成者が特定できない以上、この後輩が書いていないとも言えない。話題には注意しないといけない。
「お先に失礼します」
「お、今日は早いね」
「はい。体調が悪いのではないかと心配されたので、今日は早く上がって休みます」
「良い心がけだ。明日元気な顔で出社してくるのを楽しみにしているよ」
常務に一礼して、退社する。
まだ外がそれほど暗くない。帰宅してゆっくりしよう。少しは家事もできるかな。
メモをまとめて、それから・・・。
パソコンに向き合うか。
気合を入れて、もう一仕事。
社内の安全性向上。




