社内情報2
今日は同期との外回りの日。お客様応対が無事に終わったので、コンビニでコーヒーを買って、同期に渡す。
「サンキュー。てかさぁ、最近嫌なこと聞かない?」
キュ、と蓋にストローを差しながら彼女は話し出す。味を確かめるようにツウ、と少し吸ってから、こちらに目を向ける。
「毎日嫌なことだらけだよ。でも周りから聞くことはないな、何?」
「なんか噂、っていうの?気分悪くなるような」
そう言われたが、特に思いつかない。彼女は耳が早いほうなので、私より先に情報をつかんだのかもしれない。
珍しく言いよどんでいて、手の位置があっちへ行ったりこっちへ行ったり落ち着かない。
「気にしなければいい、って言われればそうなんだけどさあ」
ふーっ、とため息をついて彼女は話し出す。コーヒーの香りがした。
「なんか、ストーカーに付き纏われているって言っている人たちがいてさ。それも一人じゃないの。みんな、って言うと私の観測範囲でしかないって言われちゃうかもだけど・・・とにかく複数人なの。男の人もいる。でさ、聞いてみると、私も身に覚えがあるんだよね」
「へえ。私は聞いたことがないな。身に覚えがあるって?」
「デスクのものが無くなったり、私物の位置が変わっていたり・・・。休日の私を見ていたかのようなメモがロッカーに貼られていることもある」
「嫌がらせじゃん、警察に言ったほうがいい」
「証拠がないんだよ。偶然とか気にしすぎとか言われたらそれまで」
「それもそうか」
「気のせいにしては、しつこいんだよね。毎日ちょっと気分を悪くするようなことがあるとさ、こっちもテンション落ちるわけ。でも貴方は聞かないんだね、そっか、そういうこともあるよね」
「なんかごめん」
「いや、貴方が悪いわけじゃないから」
最近憂鬱そうだなと思っていたが、そういうことがあったのか。
そうだ、あのニュース記事もストーカーが書いたものかもしれない。話してみるか。
「関係あるかわからないんだけど、実は私も気になっていることがあって・・・」




