推測4
信じられるか?
あれから、記事にあったことが現実に起きている。
記事を書いた人、あるいは読んだ人が同じようにことを起こしているだけだ。
そうは思っても、ではなぜ毎回関わる人が違う?
この会社の人の多くが、団結して私を騙しに来ているのだろうか。そんな馬鹿な。人数が多すぎる。
記事のことを教えてくれた後輩も、一緒に外回り中話した同期も、今や私を騙す側にいるということだろうか。
誰を信じればいい?何をすればこの世界から抜けられる?
私は混乱を続ける頭を必死に押しとどめる。
そう、記事を読みさえしなければ、何も変なことは起こっていない。
記事を捏造することは、環境によってはあまり難しくないことなのかもしれない。
しかしその「環境」がわからない。
これをわかるようにするには。
私はパソコンを起動し、文章を打ち始める。
そう、今日あった出来事を。
なんとか書き上げたそれを、じっくり推敲する。
実に稚拙な文章だ。私には捏造記事を作る才能はない。
あれはもっと人の感情を動かし、人自体も動かしていた。
しかし誰もがその状態から始まっているのかもしれない。
その文章を保存し、また別の出来事を書き始める。
こんなに時間と労力を使い、私は何をしているのだろう。
そんな日々が続き、少し上手く文章が作れてきたと思った私は、次の段階として既存の投稿サイトに文章を上げた。
人に見てもらい、精度を高めるためだ。
これができるようになったら、次は自分でwebページを作る。
そうして私も「その人」になる?いやいや、あんな不安を煽るような文章を書くものか。
私には私のスタイルがあるのだ。
そう、私はただ出来事を記録しているだけ。それだけなんだ。
暗い自室で光の前に陣取っている私は、孤独な中年だろうか。
いや、すべては会社のため、社員のため。真相を解明するべく、私は戦っているのだ。
きっと、誰かも私と同じことをしている。




