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黒い森 六
「お前の名はソノラだ」
ソ ノ ラ・・・
「そうだ!お前の名前は俺の尊敬するぺいんたーの国の言葉に由来する!!」
男は踏ん反り返りながらそう言うと、再び私を見た。
「実を言うと最初にお前を見つけた時、ただの空っぽの体かと思ったら響きの良いお前の声が聞こえた気がしたんだ。お前の声を俺はまだ聴いたことはないがきっと良い声だと思うぞ!俺の勘だ」
何を言っているのだこの男は・・・
「それが由来だ。どうだ良い名だろう。我ながらなかなか見事な名を付けたと思う。気に入ったか?」
ソノラ・・・私の名前・・・
男は満面の笑みで私を見つめている。何か反応しようと努力したが上手く出来ない。それに気づいた男は、それだけで十分だというように再びにっこり笑った。




